A5判 346ページ 上製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-9247-6 C0095
在庫あり
奥付の初版発行年月 2018年03月 書店発売日 2018年03月16日 登録日 2018年02月20日
大正期から昭和期における泉鏡花のテクストを丁寧に読み解きながら、岡本綺堂、国枝史郎、水木しげるなどの多様なテクストやサブカルチャーに目を配り、希代の妖怪作家・鏡花と現代の怪異怪談文化を接続して、近現代日本の怪奇幻想の系譜を紡ぎ出す。
大正期から昭和期における泉鏡花のテクストを丁寧に読み解き、作品が内包する魅力や可能性を浮かび上がらせる。そして、鏡花を軸にしながら、岡本綺堂、国枝史郎、水木しげるなどの多様なテクストやサブカルチャーに目を配り、近代日本文学における〈物語〉のダイナミックな可能性と、そこでの〈怪異〉のありようをも照らし出す。
希代の妖怪作家・鏡花と現代の怪異怪談文化を接続して、近現代日本の怪奇幻想の系譜を紡ぎ出す文学研究の臨界点。
※本書の編集委員(以下、敬称略・五十音順)
一柳廣孝、小林敦、近藤瑞木、鈴木彩、副田賢二、谷口基、富永真樹、東雅夫
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始まりの書となれ
この論集は、〝始まり〟に過ぎない。論者はこの〝先〟こそを見据えていたのだろうと思う。
彼の見据えていたその〝先〟を知る術は既にない。
その〝先〟を書き継ぐのは本書を繙く者である。いや、後続たる者は本書を読んでおかねばならないだろう。
夭折を惜しむ。そして志を継ぐ者の登場を強く望む。
京極夏彦
はじめに 東 雅夫
第1部 鏡花と妖怪
解題 鈴木 彩
第1章 鏡花が描く妖怪像
第2章 恋愛劇と「大魔神」――「飛剣幻なり」の妖怪像
第3章 顔を奪うむじな――「古狢」の妖怪像
コラム1 「語られ/騙られ」る怪異と向き合うために 飯倉義之
第4章 怨まない幽霊たち――後期鏡花小説の幽霊像
コラム2 器怪が躍る昭和モダニズム──関東大震災後の妖怪文芸 乾 英治郎
第2部 水木しげると妖怪文化
解題 小林 敦
第5章 マンガ化される「高野聖」――『水木しげるの泉鏡花伝』を読む
第6章 「妖怪ブーム」前夜の水木しげる
第7章 一九七〇年代の「妖怪革命」――水木しげる『妖怪なんでも入門』
コラム3 怪奇・妖怪・ホラー――「怪」なるものの消費と大衆文化 伊藤龍平
第8章 地方を旅する鬼太郎――怪異が生じる場所を求めて
第3部 幻想・怪異・文学
解題 谷口 基
第9章 自動車に乗る鼠――泉鏡花「半島一奇抄」が描き出す怪異
コラム4 走りゆく怪、流れつく怪――車窓がつなぐ陸と海 今井秀和
第10章 岡本綺堂の怪談
第11章 国枝史郎「神州纐纈城」試論
コラム5 「伝奇小説」の系譜と「異端文学」ブーム 谷口 基
第4部 鏡花を読む
解題 富永真樹
第12章 「由縁の女」の小説手法
第13章 結末を持たない小説の読み方――「龍胆と撫子」論
コラム6 「読み」をめぐる転換と煽動――一九二〇年代の小説とプロット 副田賢二
第14章 大正末期の鏡花文学――「眉かくしの霊」を中心に
第15章 複製される「像」――「夫人利生記」論
コラム7 鏡花テクストの視覚性――リアルの侵食 三品理絵
第16章 小説家の眼差しの彼方に――視線のドラマとしての「山海評判記」
コラム8 鏡花文学の女性表象――真なるものを視る=書くことの(不)可能性 金子亜由美
清水潤著述一覧
おわりに 一柳廣孝
在庫あり
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