いしい のりえ(著)
四六判 192ページ 並製
定価 1600円+税
ISBN978-4-7872-9220-9 C0095
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2014年04月 書店発売日 2014年04月23日 登録日 2014年03月14日
女子だって官能小説を楽しもう! 官能小説や女子目線のエロスが詰まった文芸など300作以上を読み込んだ著者が60作を厳選してその魅力を紹介。フツーを超えるセックス、アブノーマルな性癖、危険な性など、お好みの作品がきっと見つかる官能小説への招待状。
まえがき
第1章 ラブ
直木賞作家が描く、いやらしくもせつない官能小説――重松清『海の見えるホテル』
少女マンガ風の展開とねっちりした性描写で女性にも読みやすい――松崎詩織『恋人』
恋なのか業なのか、消極的な男を追いかける女――南綾子「18歳24歳30歳」
恋愛やセックスにおける男女の“平等”に迫る――唯川恵「みんな半分ずつ」
孤独を解消するための肉体関係と共依存の必要性――大沼紀子「蜘蛛と蝶」
清算できない過去と手に入れたい未来、板挟みで人は何を思う――堂本烈『初めての…』
セックスの相手は代替可能? 「自立した」はずの女がもつ欲望――早瀬まひる「白い波に溺れて」
幸せにはなりえない“不倫”という恋愛に見いだした微かな光――小池真理子『浪漫的恋愛』
大人の女は童貞の夢を打ち砕く? 成長譚としての官能小説――サタミシュウ『彼女はいいなり』
旅の醍醐味は男と女の恋愛にも通じる、ご当地エロス小説――睦月影郎/霧原一輝/橘真児/川奈まり子/葉月奏太/柚木郁人/とみさわ千夏『美女紀行』
女を「神格化」する男との、二十五年ものすれ違いを描く――辻仁成『サヨナライツカ』
崩壊する家庭で、兄との近親相姦――タブーに踏み込む女の心理――松崎詩織『悲恋』
痴漢ごっこに励む男女に「トゥエンティー・ミニッツ」が見いだした理想のカップル像――勝目梓「トゥエンティー・ミニッツ」
「春を売る」から読み解く、男たちが求める“素人っぽさ”の正体――霧原一輝「春を売る」
女だって“勃起”する――『星が吸う水』が描く、性別を超越する女の快感――村田沙耶香『星が吸う水』
第2章 女
仕事と女の幸せ……セックスに後押ししてもらう人生の岐路――草凪優『みせてあげる――長編官能ロマン』
「港」系オンナからの脱皮!? セックスの要望にノーと言えるか――神崎京介『ILOVE』
ありえないセックスが続く、官能“ファンタジー”小説――水無月詩歌『蜜色の秘書室』
快楽と復讐を同時に果たす――官能小説における「女の悦び」――藍川京「獣」
妹を“オンナ”にするために姉の指導は「干渉」? 「幸せ」比べ?――吉沢華『試着室』
「ヤリたいだけの女」を高らかに宣言した、岩井志麻子の『チャイ・コイ』――岩井志麻子『チャイ・コイ』
性の秘密を共有する女性同士の関係を描く――森奈津子「二人のひとりあそび」
“フツーの女”がいちばんエロい? 欲望に目覚めた女を描く――鷹澤フブキ『もっと淫らに』
六人の男たちによる回想よって浮かび上がる、女の多面性と性愛――小玉二三『七色の笑み――官能小説』
愛する者を守るときのむき出しの本能? 『姉の愉悦』のインモラルな世界――うかみ綾乃『姉の愉悦』
奔放な性の物語で、“不自由のなかの自由”を浮き彫りに――村山由佳『ダブル・ファンタジー』
二番目の男の体で初体験を実感する、十代処女喪失のリアリティー――坂東眞砂子「放っておいて、握りしめて」
就職難がテーマに!? 官能小説的就職活動は、身体を張ってナンボ――吉沢華『写真館』
発端は教授のセックステープ――京女たちのセックスの表裏を描く――花房観音『女の庭』
ヤリマンと女友達の不思議な関係性を優しく掬う――短篇集『からまる』――千早茜『からまる』
都会暮らしの匿名性が快楽を加速させる、“隣人”の欲情ドラマ――黒沢美貴『となりの果実』
「人形」が描く、「母親の男」に恋をしてしまった女の末路とは?――馳星周「人形」
愛のないセックスこそ快感? 「リコちゃんの暴走」が暴く、痛い女の自己愛――蛭田亜紗子「リコちゃんの暴走」
真のヤリマンこそ純潔である――『聖娼の島』が投げかけるセックスの意味――うかみ綾乃『聖娼の島――官能ロマン』
第3章 人妻
「子どものために」という枕詞を利用しまくる――内藤みか『ママなのに』
いつまでも若く、キレイで従順……男性が描く「イイ女」の限界――新堂冬樹『不倫純愛』
「結婚すれば、出産すれば……」リセット願望に現実を突き付ける――大石圭『愛されすぎた女』
男に選ばれることに疲弊した女へ、元AV女優が贈る『人妻、洗います。』――川奈まり子『人妻、洗います。――書き下ろし長編美熟エロス』
家庭内セックスは惰性なのか? 家族だからこその生々しい性愛を描く――重松清『愛妻日記』
古女房の摩訶不思議な変化物語――官能ホラー小説『秘めやかな蜜の味』――坂井希久子『秘めやかな蜜の味』
第4章 SM
SMは趣向ではない!? 有名作家が別名で書いた入門篇――サタミシュウ『私の奴隷になりなさい』
SMという形で互いを想うピュアな気持ちを描く――館淳一『卒業』
快楽のための規律を破ったとき、男女関係はどうなる?――深志美由紀「おれの繭子」
悲しみも怒りも自身で解放する、現代女性の“自立”を描く――蛭田亜紗子『自縄自縛の私』
SMこそセックスの基本!? 女王と下僕の奥深い関係――水無月詩歌『調教MYダーリン』
「セックスは事なかれ主義」の女への良書――大石圭『わたしには鞭の跡がよく似合う』
『ゆっくり 破って』から考える、「三十路の処女はいかに“破られる”べきか?」――深志美由紀『ゆっくり 破って』
部下に妻を寝取られ、自慰に耽る中年男の悲哀――『不貞の季節』が最高にエロい理由――団鬼六『不貞の季節』
第5章 ちょいエロ
非日常的なセックスであぶり出された「性」と「生」。生々しい欲望を描く「ミクマリ」――窪美澄『ふがいない僕は空を見た』
“モラルを超えた行為”からにじみでるエロスを描いた『ホテル・アイリス』――小川洋子『ホテル・アイリス』
“セックスに振りまわされる生き物”の本質を描いた「文字に溺れて」――石田衣良「文字に溺れて」
「はんこや」から読み解く、夫婦間における「追っかけ」の危うさ――岡江多紀「はんこや」
乳首を吸われて感じる“女”のわたし、乳を出す“母”のわたし――林真理子『ミルキー』
「真面目な子」と「いやらしい子」他人の目に翻弄された少女二人を描く――朝倉かすみ「誦文日和」
セックスレスという劣等感で主婦が結束、その狂気に浮かび上がる女の性――目黒条『世界人類がセックスレスでありますように』
ラブホテルという非日常で育った女の“節目”を描く――桜木紫乃『ホテルローヤル』
『透光の樹』が描く老いらくのセックス、無言の愛を“耳で聞く”という快感――高樹のぶ子『透光の樹』
「セックスは、感情云々ではない」――AV女優・森下くるみ、覚悟の根源とは?――森下くるみ『すべては「裸になる」から始まって』
骸骨を前にセックスに耽る――“過去の男”への深層心理を炙り出す――岡部えつ「枯骨の恋」
苦しくないと生きている気がしない女――『恋地獄』に見た強烈な自己愛――花房観音『恋地獄』
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