宮沢賢治と天然石

文芸

北出 幸男（著）

四六判 　272ページ　並製
定価　2000円＋税
ISBN978-4-7872-9196-7　C0095
品切れ・重版未定

奥付の初版発行年月　2010年08月
書店発売日　2010年08月25日
登録日　2010年08月25日

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紹介

『銀河鉄道の夜』などの幻想的な作品を生んだ宮沢賢治は、鉱物や樹木と交感できるシャーマン的な体質・気質をもっていた。賢治の詩や童話、書簡を引きながら、多数出てくる天然石の癒し効果を解説して、彼が生きたイーハトーブの追体験を試みる斬新な賢治論。

目次

第1部　本当に本物の宮沢賢治を探して

第1章　センス・オブ・ワンダーな宮沢賢治
　1　センス・オブ・ワンダーな宮沢賢治
　2　流れ星のような賢治の三十七年間
　3　宮沢賢治は石屋になりたがった

第2章　賢治はシャーマン気質に生まれついた
　1　少年の賢治は空の傷口を眺めた
　2　少年は山の神のひと突きで難病を克服した
　3　賢治は仕事選びの重荷に屈伏した
　4　学生時代に賢治は恋愛を拒否して禁欲を誓う
　5　鬱病近似症状を病んだ賢治
　6　経典に背中をぶたれての家出
　7　大トランクに原稿を詰めて帰郷
　8　通過儀礼が終わったあとで

第3章　二十五歳の賢治は農業学校の教師になる
　1　農学校教師としての宮沢賢治
　2　野の教師、宮沢賢治寸描
　3　最愛の妹とし子が遠くへ逝ってしまった
　4　とし子の死によって賢治は死後の世界の旅人になった
　5　「銀河鉄道の夜」とバルドの旅
　6　『春と修羅』と『注文の多い料理店』

第4章　宮沢賢治のユートピア、羅須地人協会
　1　賢治流フリースクールの開設
　2　「農民芸術概論綱要」と世界全体の幸福
　3　農村指導者としての宮沢賢治
　4　宮沢賢治にも色っぽい話がある
　5　禁欲の人・賢治はなぜ春画を集めたか

第5章　賢治は矜持を正して逝ってしまった
　1　東北砕石工場営業マンの過酷な日々
　2　「雨ニモマケズ」
　3　宮沢賢治の最後
　4　草野心平が賢治を永遠ならしめた
　5　賢治は没後に牙を抜かれた虎に変じた

第2部　心象スケッチと変性意識の親密な関係

第1章　シャーマン気質な賢治の幻視体験
　1　宮沢賢治は鬼神を見た
　2　手紙に綴られた幻視体験の数々
　3　『宮沢賢治の肖像』に見る鬼神の話
　4　賢治とユングとの精神的危機状況の類似
　5　スピリチュアル・エマージェンシーについて

第2章　心象スケッチは変性意識体験から生まれた
　1　賢治は「行ってしまった景色」に魅せられた
　2　『春と修羅』「序」と付け足しの解説
　3　『春と修羅』をめぐる宮沢賢治三通の手紙
　4　心象スケッチは心理学研究のための基礎データ
　5　変性意識研究はヒッピー文化から始まった
　6　賢治は変性意識のメソッドを持っていた
　7　変性意識下での世界の見え方
　8　デジタル・ハイビジョンの視覚を得る
　9　脳が機能性を高めると時間感覚も変わる
　10　変性意識下では誰もがパワーを感じられる
　11　賢治は九十年前に先端心理学を目指していた
　12　賢治は深層心理学を学びたがったようだ

第3章　みんなで「賢治する」ためのスペシャル・メソッド
　1　センス・オブ・ワンダーと心象スケッチ
　2　空が岩盤に変わるのを期待して待つ
　3　風光明媚な土地で身体意識を開く
　4　水晶を眺めて魅入ってしまう
　5　遠くに焦点を定めてグイグイ歩く
　6　正しい座法でいっきょに気分転換
　7　息と座法で誰にだって素晴らしいことが起きる
　8　本当の瞑想は気持ちがよくって楽しい
　9　トンネルをくぐるだけで天使に会える
　10　意識のフライ・フィッシング
　11　本当はみんなはひとつかもしれない
　12　ちょっと困ったこと

第3部　宮沢賢治と癒しの天然石

第1章　琥珀・水晶・メノウ・オパール
　1　スノードームを眺めるような
　2　琥珀の板で張られた薄明の空
　3　水よりも透き通った水晶の透明さ
　4　水晶・玉髄・オパールは同じ物質からできている
　5　アメシストは加熱されて黄色に変わる
　6　シトリンとインペリアル・トパーズ
　7　夏の雲は空の玉髄
　8　メノウのできかたとモスアゲートの不思議
　9　赤いメノウを賢治はこわがった
　10　空を白い雲が覆うと世界はオパール化する

第2章　ターコイスと青い色の天然石
　1　ターコイスの空がひび割れる
　2　ラピスラズリは至福に満ちた天空の色
　3　アズライト（藍銅鉱）とカイヤナイト（藍晶石）
　4　青いアマゾナイト（天河石）と緑のクリソコラ（ケイ孔雀石）
　5　セレスタイト（天晴石）が宮沢賢治の石
　6　賢治はマラカイトに蒼い孔雀を見ていた
　7　硬玉と軟玉、種類が違うふたつのヒスイ
　8　兄弟でありながら大違いのエピドート

第3章　四大宝石とその他の天然石
　1　四大宝石の全部がそろうと素晴らしい
　2　ムーンストーンと長石グループ
　3　セレナイトとアラバスター
　4　カルサイトと石灰岩と大理石は同じ鉱物
　5　賢治は赤い鉱物には興味を示さない?
　6　蛇紋岩山地に託した賢治の特別な思い
　7　水銀と硫黄があると鉛を金に変換できる
　8　化石と恐竜と如来とのシュールなあいだがら
　9　楢ノ木大学士が聞いた鉱物たちの会話

あとがき

資料
　宮沢賢治年代区分と略歴
　没後の賢治年譜

著者プロフィル

北出　幸男（キタデ ユキオ）