梶野 絵奈(著)
A5判 564ページ 並製
定価 6400円+税
ISBN978-4-7872-7463-2 C0073
在庫あり
書店発売日 2024年04月09日 登録日 2024年02月15日
「日本経済新聞」 朝刊 |
ヴァイオリンは、宗教的・教育的・政治的な意図が折り重なるなかで日本に導入された。演奏技術や楽器製作に関して緻密な資料調査を積み重ね、日本の近代化と歩調を合わせるようにヴァイオリンが受容された過程とそれに関わった人々の熱量を現代に再現する。
日本人はいつ、どのようにしてヴァイオリンを演奏しはじめたのか。どのようにしてその製作を始めたのか。そして、演奏技術や楽器製作はどのように広まったのか。これまで未知だった日本でのヴァイオリン黎明期を解き明かす。
いつ誰がヴァイオリンを演奏しはじめたのか――最初に伝習を始めたハリストス正教会、それに続いた洋楽協会、音楽取調掛における伝習開始の経緯や目的、具体的な実践内容をひもとく。指導に当たった外国人の宣教師や音楽教師と日本人の弟子たちとの試行錯誤、日本の音楽教育やオーケストラの萌芽についても描き出す。
いつ誰がヴァイオリンを作り始めたのか――初めてヴァイオリン製作に成功した職人をはじめとする黎明期の職人について、定説の検証や新資料の発見に基づき新たな説を提示する。また楽譜や教則本が国産されて、消費の対象になる過程にも光を当てる。
ヴァイオリンは音楽を楽しむ道具としてだけでなく、宗教的・教育的・政治的な意図が折り重なるなかで日本に導入された。緻密な調査により、日本の近代化と歩調を合わせてヴァイオリンが日本人に受け入れられていった当時の熱量を現代に再現する。
はじめに
第1部 「楽器中の帝王」日本での普及の始まり
第1章 ハリストス正教会とヴァイオリン
1 日本の正教会でのヴァイオリン伝習の始まり
2 ハリストス正教会の日本人たちの活動の様相
第2章 雅楽家の有志団体・洋楽協会が「欧州管絃楽」を実現するまで
1 ヴァイオリン指導の先駆けになった二人のお雇い外国人
2 伶人たちのヴァイオリン習得――『洋楽協会記録』から
第3章 音楽取調掛でのヴァイオリンと管絃楽
1 ヴァイオリンと管絃楽に関する教科制定の変遷
2 音楽取調掛時代のヴァイオリン譜
3 ドイツとボストンの音楽教育界でのヴァイオリン
第2部 ヴァイオリン関連産業の発展の様相
第4章 ヴァイオリンの国産――手工芸から近代型産業へ
1 音楽取調掛と洋楽協会が購入したアメリカ製の楽器
2 ヴァイオリンの流通と初期の国内楽器製造の状況
3 ヴァイオリン製作が産業に発展するまで
第5章 ヴァイオリン普及の拡大――消費の対象として
1 ヴァイオリン譜の出版と流通
2 学びと演奏環境をめぐる諸情報
おわりに
参考文献一覧
あとがき
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