森下 達(著)
A5判 288ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-7392-5 C0074
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2016年10月 書店発売日 2016年10月31日 登録日 2016年08月24日
「東京新聞/中日新聞」
朝刊 評者:佐藤利明(娯楽映画研究家) |
1950年代から80年代までの『ゴジラ』『モスラ』などの特撮映画の歩みをたどり、それを支えた日本のSF史も分析して、戦後のポピュラー・カルチャーが社会的なものと距離を置くようになり、非政治的なジャンルになったプロセスを多角的に照らし出す。
戦後日本のポピュラー・カルチャーは、たとえば『ゴジラ』が水爆実験を経て出現した怪獣だったように、社会に対する批評性をもつものでありえた。それこそ、文学や芸術といったメイン・カルチャーがそうであったのと同様に、だ。では、ポピュラー・カルチャーが内包していた政治性は、時代とともになぜ・どのように抜け落ちていき、現在にいたったのだろうか。
1950年代から80年代までの『ゴジラ』や『モスラ』などの特撮映画の歩みをたどって作品の内部に分け入り、並行して日本のSF史で転換点となった60年代・70年代のSF作品や文芸評論家の論争を分析する。
3・11後の文化状況、『パシフィック・リム』『GODZILLA ゴジラ』、そして『シン・ゴジラ』も射程に収め、戦後のポピュラー・カルチャーが社会的なものと距離を置くようになり、非政治的なジャンルとなったプロセスを特撮映画とSFの交差点から照らし出す。
凡例
序章 「非政治的」な領域としてのポピュラー・カルチャー
1 『ヘタリア Axis Powers』をめぐる騒動から見えてくること
2 本書の主題――怪獣・怪人からポピュラー・カルチャーを見る
3 本書の方法――「ジャンル」への着目
第1章 『ゴジラ』をめぐる批評の力学――「平和への悲願」の意味
1 『ゴジラ』を取り巻く映画たち
2 『ゴジラ』と水爆実験
3 「原爆映画」との比較から①――「センチメンタル」という批判
4 「原爆映画」との比較から②――背景としての「逆コース」
5 ありうべき『ゴジラ』――『G作品検討用台本』から
第2章 「空想科学映画」の射程――『空の大怪獣 ラドン』『地球防衛軍』
1 「空想科学映画」という価値観
2 「原爆文学」評価との関係から
3 『地球防衛軍』と文明としての核エネルギー
第3章 現実の批判者としての怪獣・怪人――文学者の実践と「特撮映画」
1 「特撮映画」と「正しい空想」
2 幽霊と化け猫と怪獣
3 「アヴァンギャルド的」特撮映画論の完成
4 「第三次世界大戦前夜」における文学者の実践
5 「発光妖精とモスラ」と安保闘争
第4章 SF規範をめぐる科学と政治――「SF(日本SF)」が切り捨てたもの
1 「SF(日本SF)」史における一九六〇年代
2 夢見られたユートピア
3 規範としてのディストピア
4 現在とは断絶した未来
5 「クール」なSFと「未来学」
第5章 「軽薄」であることの意味と価値――「SF(日本SF)」、テレビ、怪獣
1 一九六〇年代の「SF(日本SF)」と「特撮映画」
2 ショート・ショートに見る「相対化」の方法論
3 文芸評論家たちのテレビ論と「アクチュアリティー」の変容
4 テレビメディア発達状況下での「SF(日本SF)」の実践
5 「ドタバタ」のアクチュアルさ
6 怪獣を「軽薄」に扱う法
第6章 キャラクター消費という問題――「特撮映画」ジャンルの再編と「オタク第一世代」
1 パニック・スペクタクル映画をめぐる世代間対立
2 「特撮映画」ジャンルの再編
3 怪獣ゴジラが背負うもの
終章 キャラクターは「政治的」足りうるか――近年の文学的・美術的実践と「特撮映画」ジャンル
1 本書のまとめ――「特撮映画」・「SF(日本SF)」ジャンルの形成と変容
2 怪獣・怪人による社会批判
3 「怨嗟」の形象化としての怪獣ゴジラ
4 ポピュラー・カルチャージャンルの内と外
エピローグ
参考文献一覧
索引
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