梶野 絵奈(編著) / 長木 誠司(編著) / ヘルマン・ゴチェフスキ(編著)
A5判 264ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-7304-8 C0073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2011年05月 書店発売日 2011年05月25日 登録日 2011年05月18日
「東京新聞/中日新聞」
朝刊 評者:葛西聖司(アナウンサー) |
明治末期に生まれ、日本とドイツを往復しながら、ヴァイオリンの演奏から指揮や作曲、果ては当時のニューメディア=映画制作まで取り組んだ貴志康一。ベルリン・フィルを25歳で指揮しながらも、28歳で生涯を終えた音楽家の人生と作品、その時代を探求する。
はじめに 梶野絵奈
第1部 貴志康一とは誰か
第1章 過渡期のヴァイオリニスト、その音と姿――成長の過程を通して 梶野絵奈
1 日本でのヴァイオリンの学び
2 第一回渡欧――ジュネーブ―ベルリンでの修業
3 ストラディヴァリウスを携えて――日本楽壇へのデビュー
4 二度目のベルリン――低迷、しかし充電も
5 日本での再挑戦――新たな展開に向けて
6 第三回渡欧以降――ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン作品の創出
第2章 貴志康一が「作曲家」になるまで――学びの過程にみるその原像 堀内彩虹
1 作曲の学びの過程概観
2 作曲の特徴の芽生え
第3章 ベルリンの日本人――貴志康一と「日本」の表象 中村 仁
1 貴志康一とベルリン
2 ベルリンの日本人――ベルリンでの「日本」文化紹介と貴志康一
3 日本の日本人――帰国後の貴志康一と「日本」音楽
第4章 「思ひ出づるまゝに」――随想の著述家、貴志康一 山上揚平
1 筆を執る音楽家?
2 「思ひ出づるまゝに」――随想という形式
3 随想の音楽家、貴志康一
第2部 貴志康一の作品
第1章 「日本の洋楽」の音階と貴志康一の旋律 ヘルマン・ゴチェフスキ
1 「日本の洋楽」の音階と和声
2 「日本の洋楽」と作曲家のアイデンティティー
第2章 歌曲について――その変遷と貴志の原風景 子安ゆかり
1 貴志の「歌」作品の概観と三つの時期の特徴
2 歌曲「赤いかんざし」の複数の稿から見えてくること
第3章 ヴァイオリン曲について――ヴィルトゥオーゾの技巧と作曲の融合 梶野絵奈
1 ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ・コンポーザーとは
2 日本人ヴァイオリニストによる作曲のあゆみ
3 貴志康一のヴァイオリン作品
第4章 文化映画『鏡』、自画像を超えて――映画監督・貴志康一 白井史人
1 「映画監督・貴志康一」へ――貴志康一と映画
2 文化映画『鏡』――二人の協力者
3 モダンと伝統の共存――映像と音楽の相互作用を通して
第5章 ゆれる「日本」像のなかで――標題交響曲『仏陀の生涯』 中村 仁/白井史人
1 組曲から交響曲へ――貴志の管弦楽創作と『仏陀』の成立
2 「標題交響曲」への挑戦
3 標題“交響曲”『仏陀』――第一楽章の分析
4 “標題”交響曲『仏陀』
第6章 貴志康一とオペラ――『なみ子』~未完のプロジェクト 長木誠司
1 オペレッタ『なみ子』
2 『なみ子』の〈時事オペラ〉的特性
3 〈日本的〉時事オペラ?
4 ハーン問題
5 可能性としての『なみ子』
第3部 貴志康一と時代
第1章 「天才」少年少女の時代 伊藤由紀
1 貴志康一をめぐる「天才」言説
2 戦前期「天才」報道の変遷――「読売新聞」を例に
3 一九二〇年代前半の「天才」記事――無邪気で多才な「赤い鳥」型
4 一九三〇年代後半の「天才」記事――親の意向による「早教育」型
5 「天才」記事の主流の交替
6 貴志康一の場合
第2章 欲望のコロニアルな対象――貴志康一の『鏡』と映画脚本『ニーナ』をめぐって 竹峰義和
1 ウーファ文化映画としての『鏡』
2 『鏡』――見るもの/見られるもの
3 Nina/China――映画脚本『ニーナ』をめぐって
第3章 貴志康一による音楽統制論の真意 岡野 宏
1 貴志康一と日本主義――日本文化連盟との比較から
2 貴志と統制論――ナチズムとの関係から
あとがき ヘルマン・ゴチェフスキ/長木誠司
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