宇田川 敦史(著)
四六判 368ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3554-1 C0036
書店発売予定日 2025年03月19日 登録日 2025年01月23日
検索エンジン・グーグルというメディアはどのように日常化し、その介在が意識されないインフラへと変容したのか。現代のデジタル・プラットフォームの権力構造を再考する書。
検索結果のランキング、すなわちキーワードに対するウェブページの並び順は、「アルゴリズム」によって決められている。このアルゴリズムは「ブラックボックス」だと表象され批判の対象にされてきた。しかしこの「ブラックボックス」とは一体何を指し示しているのか、そしてその批判に通底する「プラットフォーム悪者説」ははたして妥当なのか。
本書では、グーグルのランキング・アルゴリズムがどのように変容してきたのか、ウェブの「送り手」の語りと、それに対するグーグルの反応に着目してその過程を明らかにする。具体的には、1990年代から2020年までのSEO(検索エンジン最適化)を中心とした送り手の活動における言説の歴史を分析することで、アルゴリズムを構築する様々なアクターとその権力構造を検証する。
デジタル・プラットフォームの設計・運営に実務家として携わった著者が、インフラ化した検索エンジンの歴史的・社会的な構築のプロセスを、メディア論の視座から学際的に捉えなおす刺激的な試み。
はじめに
第1章 検索エンジンの日常化を問う
1 なぜプラットフォーム研究か
2 なぜ検索エンジン研究か
3 なぜSEO研究か
4 本書の問いと構成
第2章 プラットフォームとは何か
1 メディアとしてのプラットフォーム
2 プラットフォームは「フィルタリング」する
3 プラットフォームは「コントロール」する
4 プラットフォームは「分配」する
5 概念整理――プラットフォーム、アーキテクチャ、インフラ
第3章 検索エンジン・アルゴリズムの確立――SEO前史(一九九三―二〇〇五年)
1 ウェブ1.0時代とパソコン雑誌
2 サーフィン=サーチの時代(一九九三―九五年ごろ)
3 サーフィンからサーチへ(一九九六―九七年ごろ)
4 ポータルの出現とWWWのマスメディア化(一九九八―九九年ごろ)
5 ポータルからプラットフォームへ(一九九九―二〇〇一年ごろ)
6 ランキングのブラックボックス化(二〇〇二―〇五年ごろ)
第4章 SEOによるアルゴリズム変容の全体像――二〇〇六年から二〇年までの通時的分析
1 ウェブマスターのパースペクティブ
2 「Web担当者Forum」というメディアの成り立ち
3 SEO記事の頻出語と特徴語
4 年代によるトピックの変化
5 時代区分とその特徴
第5章 並列するSEO――複数検索エンジンへの対応(二〇〇六―一〇年)
1 第一期(二〇〇六―一〇年)の特徴コード
2 一般名詞としての「検索エンジン最適化」
3 計算論的な「選び手」への最適化
4 ブラックハットとホワイトハット
5 アメリカから始まった検索エンジンの再編
6 グーグル「ガイドライン」の出現
7 Yahoo! Japanのグーグル化
第6章 中心化するSEO――グーグルによる秩序化(二〇一一―一四年)
1 第二期(二〇一一―一四年)の特徴コード
2 「裁き手」としての検索エンジン
3 「パンダ」の出現と「排除」の論理
4 「ペンギン」の出現と「ガイドライン支配」の確立
5 「ガイドライン」を徹底させるメディア
第7章 脱中心化するSEO――モバイルによる秩序の揺らぎ(二〇一五―二〇年)
1 第三期(二〇一五―二〇年)の特徴コード
2 多重化する最適化
3 ペナルティのほころび
4 「標準化」の推進と限界
5 「モバイルファースト」の困難
6 「ガイドライン」とアルゴリズムの深い溝
第8章 検索エンジン・アルゴリズムの「権力」を問い直す
1 アルゴリズムはどのようにブラックボックス化したのか
2 プラットフォームへの「メディア論的想像力」
3 プラットフォームのメディア・リテラシーとは
4 「メディア・インフラ・リテラシー」の可能性と展望
あとがき
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電話:03-3268-0381
ファクス:03-3268-0382
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