大島 岳(著)
A5判 328ページ 並製
定価 3400円+税
ISBN978-4-7872-3530-5 C0036
在庫あり
書店発売日 2023年11月29日 登録日 2023年10月18日
HIV陽性者には、ジェンダーやセクシュアリティ、障がいなど交差的な差別がいまだに根強い。ゲイ男性を中心にHIV陽性者百余人と交流し、ライフヒストリーを聴き、手記なども読み込んでその実情を明らかにする。生きるための理論を探求する生活史研究。
現在、地球規模で最も深刻な感染症の一つHIV/エイズ。医療の進展とともに服薬を続ければ死に至らず、ほかの人と同じ生活ができるようになった。だがジェンダーやセクシュアリティ、病いや障がいなど交差的な差別や偏見はいまだに根強い。日本で「HIVとともに生きる」ことはいったいどのようなことなのだろうか。
ゲイ男性を中心にHIV陽性者百余人と交流し、22人のライフヒストリーを聴き、かれらが書いた手記などの史資料も読み込み、生活史に深く迫る。当事者と支援者がおこなってきた協働的な実践を掘り起こし、周囲に創造的に関わりながら包摂する力を発見していく。
傷つきとレジリエンス、病いの語り、クィア理論や批判理論など社会学理論から、一人ひとりが苦しみのなかで培ってきた生きる力が、社会とどのように接合し社会を構想できるかを浮き彫りにする。傷ついた生の意味を協働で探り、親密性や共同性を育む「生きるための理論」を探求するラディカルな生活史研究。
序 章 性と病い/健康をめぐるフィールドワーク
1 HIV/エイズについて――本書の目的
2 HIVをめぐる社会学的想像力――なぜ陽性者の生に焦点を当てるのか
3 HIV陽性になるということ――フィールドに入る
4 HIVをめぐるオートエスノグラフィー――診断前
5 フィールドワークとしての日常生活
6 本書の問いと意義――HIVとともに生きるとはどのようなことか
第1章 HIVをめぐる社会学的研究
1 社会的病いとしてのHIV/エイズの歴史
2 HIVとともに生きる人々をめぐる研究の系譜
3 本書の位置づけ――HIVとともに生きることをめぐるライフヒストリー研究
4 本書の目的と意義――洞察を紡ぎ出し社会を構想するライフヒストリー研究
5 研究方法・調査概要
6 本書の構成
第2章 フィールドとしての個人――ライフヒストリー研究の再帰的/反省的転回
1 ライフヒストリー研究と批判理論
2 病いの語り、病いの軌跡、傷ついた物語の語り手
3 素人専門家(Lay Expert)から当事者のより積極的な参画(GIPA Principle)へ
4 HIVとともに生きること――傷つき/可傷性とレジリエンス
5 小括――HIVとともに生きる人々の生存とレジリエンス
第3章 当事者から始まるエイズ・アクティヴィズム――生きるための理論と実践
1 リヴィング・ポリティクス
2 ゲイ雑誌「G-men」にみるグラスルーツ・アクティヴィズム
3 「SHIP NEWSLETTER」手記にみるヘルスリテラシー向上実践
4 ピアサポートの変遷と現在的意義・課題
5 地域でのケアの担い手
第4章 スティグマとレジリエンスの社会学
1 HIVに関するスティグマの概念化
2 重層的スティグマと社会的排除
3 レジリエンスへの着目
4 社会的排除からの対抗戦略――ライフ・ポリティクスとリヴィング・ポリティクス
第5章 混沌を受容できる場/関係性――多声性・異種混交性と共同性・親密性
1 混沌をライフヒストリーの一部として受容する力
2 親密性と共同性を紡ぐ「愛の技法」
3 小括――ライフヒストリーの生成継承性
第6章 ラディカル・ライフヒストリー研究に向けて――生きるための理論を紡ぐ/社会を構想する
1 生きるための理論に向けて
2 ラディカル・ライフヒストリー研究に向けて
3 声なき声としての「混沌の語り」に敬意を払うこと
4 「HIVとともに生きる」とはどのようなことか
5 本書の限界と今後の展望
終章 まとめ――本書の意義と貢献
あとがき
在庫あり
送料無料162-0801 東京都新宿区山吹町337
電話:03-3268-0381
ファクス:03-3268-0382
●会社案内 ●購入案内 ●プライバシーポリシー ●特定商取引法に基づく表示
●特約店一覧
●リンク
掲載している文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。それ以外のものと青弓社社員によるものの著作権は株式会社青弓社にあります。