山﨑 晶子(著)
A5判 416ページ 並製
定価 4000円+税
ISBN978-4-7872-3501-5 C0036
在庫あり
書店発売日 2022年02月28日 登録日 2022年01月13日
「産經新聞」
朝刊 評者:相澤真一(上智大学准教授) |
名門グランゼコール在学生・卒業生、その親、受験準備学級の教師たちにインタビューをして、現代フランスでエリートになるためには、フランス語の卓越した運用能力が専攻を問わず重視され、それ自体が言語資本として機能していることを明らかにする。
フランス社会は学歴に強く支配されていて、学歴と職業が直結している。そのため、グランゼコールという難関の高等教育機関に入るための厳しい選抜競争を勝ち抜いた人々は自他ともにエリートであると認められている。現代フランスでエリートになるには、どのような能力が求められるのだろうか。
本書では、ピエール・ブルデューとジャン=クロード・パスロンが提示した「言語資本」概念を下敷きにして、グランゼコール入学試験の際のフランス語の運用能力に着目する。選抜におけるフランス語の重視度や運用能力の獲得過程を調査するため、入学試験を分析し、名門グランゼコール在学/卒業生とその親、受験準備学級の教師たちに対するインタビューを実施する。
そして、現代フランスでエリートになるためには、フランス語の卓越した運用能力が専攻を問わず重視され、それ自体が資本として機能していることを明らかにする。また、言語資本は出身家庭で獲得され、継承されるだけではなく、学校教育でも獲得できる非-世代継承的な側面があり、またその内実が変容していること、それによって移民家庭などの恵まれない階層出身者であってもエリートへの階層移動が可能になっていることを照らし出す。
はじめに
序 章
1 問いと研究背景
2 先行研究と本書の位置づけ、独自性
3 本書における「エリート」と「言語資本」定義
4 研究方法
第1部 現代フランスのエリート形成におけるフランス語の位置づけ
第1章 グランゼコール入学試験におけるフランス語
1 名門グランゼコール入学試験でのフランス語係数
2 グランゼコール入学試験で求められるフランス語能力
第2章 エリート選抜におけるフランス語の位置づけ――プレパ教師の語りから
1 プレパとは
2 調査の概要
3 プレパ教師によるエリート選抜でのフランス語の位置づけ
第3章 エリート形成におけるフランス語の位置づけ――エリートの語りから
1 調査概要
2 理系エリートによるフランス語の位置づけ
3 文系エリートによるフランス語の位置づけ
第1部結論 現代のエリート形成におけるフランス語の重要性の保持
第2部 フランス語の言語資本の獲得とエリート選抜における機能
第4章 言語資本の獲得方法・獲得過程――エリートのライフストーリーから
1 ライフストーリー・インタビュー調査の概要
2 親が教師であるエリートたちの言語資本の獲得
3 親が教師ではないエリートたちの言語資本の獲得
第5章 家庭における言語資本の獲得――親へのインタビューから
1 教師である親による子供の言語資本の獲得への関与
2 教師以外の職業をもつ親による子供の言語資本の獲得への関与
第6章 学校における言語資本の獲得――プレパでの教育実践
1 プレパ教師による言語資本の獲得に向けた教育実践
2 中等教育におけるフランス語教育の学習指導要領
第7章 エリート選抜試験における言語資本の投資と機能
1 文系エリートによる入学試験における言語資本の投資と機能
2 理系エリートによる入学試験における言語資本の投資と機能
第2部結論 家庭によって獲得される土台、学校によって与えられるテクニック
終 章 二十一世紀の言語資本と階層移動
1 本書の二つの問いからみえたこと
2 言語資本に対する捉え方
3 二十一世紀の言語資本とは何か
4 言語資本の変容と階層移動
5 今後の課題
補章1 インタビュー調査について
1 調査に関する詳細
2 インタビューの方法と分析方法の選択
3 調査における困難、限界
補章2 その他補足説明
1 名門グランゼコール
2 名門プレパ
参考文献
初出一覧
おわりに
在庫あり
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