青弓社ライブラリー 104
阪井 裕一郎(著)
四六判 208ページ 並製
定価 1600円+税
ISBN978-4-7872-3499-5 C0336
在庫あり
書店発売日 2021年10月27日 登録日 2021年09月10日
「毎日新聞」
朝刊 評者:張競(明治大学教授・比較文化) |
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「毎日新聞」
朝刊 評者:張競(明治大学教授・比較文化) |
「結婚」や「家」と密接な関わりがあった仲人は、どのように広まり定着して、なぜ衰退に至ったのか。明治期から戦前、そして戦後に至る仲人の役割や見合い結婚のありようをたどり、仲人の近・現代史から近代日本の家族や結婚をめぐる価値観の変容を照射する。
1990年代まで「結婚」や「家」と密接な関わりがあった仲人は、どのように広まり定着したのか。また、なぜ衰退して現在では見られなくなったのか。
明治時代以前の村落共同体では見合いが浸透していなかったが、教育勅語や家制度によって仲人が急速に普及する。明治期の家族主義と個人主義、大正期以降に登場する恋愛などとのせめぎ合いのなかで、見合い結婚が「正しい結婚」として位置づけられ、強固に維持されたことを史料を渉猟して明らかにする。
また、明治期に民間の結婚相談所が設立されたが、戦時下の人口政策に組み込まれ厚生省が結婚媒介を統制するに至って、優生思想とも接続しながら全国に結婚斡旋網が形成されたことも掘り起こす。
そして、戦後の民主化や高度経済成長によって見合い結婚は封建的と見なされるようになりながらも、仲人は恋愛結婚や職場結婚と折衷して1990年代まで存続し、2000年代に消滅するプロセスを跡づける。
村落共同体、家、国家、企業と、時代ごとに個々人の帰属先と密接に結び付いてきた仲人の近・現代史から、近代日本の家族や結婚をめぐる価値観の変容を照射する。
序 章 仲人という謎――仲人から近代日本を問う
1 仲人をするのは人生の義務
2 仲人がいない結婚は「野合」
3 仲人と「近代」――伝統の変容
4 仲人を通して何をみるか
5 仲人は「封建的」か
6 本書の構成と概要
7 「仲人」をめぐる用語について
第1章 仲人をめぐる「民俗」――村落共同体のなかの結婚
1 仲人前史――村落共同体の習俗
2 庶民の婚姻習俗
3 村落共同体の仲人
4 文明と野蛮
第2章 文明化と仲人――明治・大正期における「家」の結婚
1 明治期における媒酌結婚の規範化――礼儀作法書を読む
2 媒酌結婚をめぐる規範的言説
3 大正期の「恋愛結婚」と仲人
4 優生学・媒酌結婚・恋愛結婚――「改造」の時代
第3章 仲人と戦争――結婚相談所にみる結婚の国家的統制
1 結婚媒介業の隆盛
2 社会事業としての結婚媒介――民営から公営へ
3 結婚相談所の国営化
4 国家に管理される結婚
第4章 仲人の戦後史
1 民主化と高度経済成長という二つの戦後
2 「民主化」と結婚
3 恋愛を補助する「仲人」
4 高度経済成長期の仲人――企業社会に埋め込まれる結婚
5 仲人はなぜ消滅したのか
終 章 「ポスト仲人社会」を考える
1 再び注目される仲人
2 仲人機能の再編成へ
3 デモクラシーと仲人
あとがき
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