中條 共子(著)
A5判 180ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3459-9 C0036
在庫あり
書店発売日 2019年08月26日 登録日 2019年07月11日
日中の孤独や強制された施設収容などの「老人問題」に対して地域住民で「たたかう」ために生まれた「助け合い活動」の1970年代から現代までを追い、地域のグループ、有償ボランティア、NPOと移り変わった担い手の変容、苦悩や課題、今後の展望を描き出す。
人口の約40%が65歳以上という超高齢社会への危機感のなか、「地域包括ケアシステム」の構築が社会的な課題として浮上している。しかしこのビジョンには、自助(自己責任)の強化を推し進めようとする政策意図も織り込まれている。個人や家族の垣根を超えた介護や生活支援はどのようにして可能なのか。
日中の孤独や強制された施設収容などの「老人問題」に対して地域住民で「たたかう」ために生まれた「助け合い活動」の1970年代から現代までを追い、地域のグループ、有償ボランティア、NPOと移り変わった担い手の変容、苦悩や課題を描き出す。
「助け合い活動」の歴史と展開を地域福祉に回収せず、新しい社会運動と定義することで、政策とは別の「互助」の可能性を展望する。
序 章 生活支援を社会運動としてとらえる視点
1 何が「問題」なのか
2 何を、どう、とらえるのか
3 本書の枠組み
第1章 助け合い活動の出発――一九七〇年代
1 住民グループの誕生
2 コミュニティ・ケアの焦点化――政策的環境
3 「協力し合えば」――共有意識の形成
4 行動するサークル――組織のあり方
5 持続可能な運動体――活動様式のあり方
第2章 助け合い活動の広がり――一九八〇年代
1 有償ボランティアの簇生
2 福祉改革勢力の後押し――政策的環境
3 「助け合い」が地域を変える――共有意識の形成
4 運動と事業の二重構造――組織のあり方
5 インフォーマルな就労――活動様式のあり方
第3章 助け合い活動の構造転換――一九九〇年代
1 有償ボランティアから介護系NPOへ
2 社会福祉基礎構造改革の始動――政策的環境
3 地域づくりの「市民活動」――共有意識の形成
4 専門職化と多角化――組織のあり方
5 「経営」の独立――活動様式のあり方
第4章 助け合い活動の再編――二〇〇〇年以降
1 介護保険制度下の介護系NPO
2 地域包括ケア政策の展開――政策的環境
3 「つながり」のはたらき――共有意識の形成
4 収入規模と事業構造の分化――組織のあり方
5 「生活支援」と「身体介護」の分離――活動様式のあり方
第5章 助け合い活動の史的展開の分析と考察
1 助け合い活動のサイクル
2 助け合い活動の外的条件――政治的機会
3 助け合い活動の内的条件――動員構造とフレーミング
4 介護系NPOのレパートリー変化
終 章 介護系NPOの岐路と方向選択
1 総合事業の現状と介護報酬引き下げの影響
2 介護系NPOの岐路――百三十四団体の事業報告から
3 介護系NPOの方向選択――四団体の事例検討
あとがき
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