石川 瞭子(編著)
四六判 264ページ 並製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-3451-3 C0036
在庫あり
書店発売日 2019年06月17日 登録日 2019年05月09日
セルフネグレクトは時間をかけた自殺行為である。自己肯定ができず、生への欲求も消えた父親のストレスは、妻や子どもへの暴力として現れる。そうした虐待の連鎖を断ち切るためにはどうしたらいいのか。実例を挙げながら虐待の予防と防止の方法を提起する。
「ゴミ屋敷」「日常生活の破綻」――徐々に自身を社会的に殺し、身体をみずから破壊するセルフネグレクト。
その原因は、失業などの喪失体験、対人関係の破綻、酒やギャンブルなどへの逃避、危険で過重な労働、極度のストレスなどがある。その結果、不衛生な住環境、最低限の栄養や水分も補給しないで健康を放棄する、などの「自己放棄」が起きる。
自分を評価できずに生への欲求も消えた父親のストレスは、妻や子どもへの暴力として現れる。そうした虐待の連鎖を断ち切るためには何が必要なのか。
研究者やカウンセラーたちが実例を挙げながら虐待の予防と防止の方法を提起する。
まえがき 石川瞭子
序 章 セルフネグレクトと父親――その見えざる存在 石川瞭子
1 生きる意義と目的を失った父親
2 セルフネグレクトと父親による虐待
第1章 五人の虐待父親とセルフネグレクトの関係 石川瞭子
1 V男――妻V子と二子の殺害はどうして起こったのか
2 W男――妻W子を殺した容疑
3 X男――実子一歳を衰弱死
4 Y男――五歳の連れ子を衰弱死
5 Z男――妻Z子が二歳女児をベランダから投げ落とした
6 父親のセルフネグレクト――五事例のまとめ
7 セルフネグレクトの定義
第2章 父親であること――社会格差の現実のなかで 石川瞭子
1 児童虐待の周辺の動き
2 父親であること、格差社会の現実
3 内側で排除される父親
4 スウェーデンの体罰禁止法とファミリーセンター
5 わが国のファミリーサポートセンターの可能性の展望
第3章 ステップファミリーとセルフネグレクトの継父 佐藤佑真
1 存在を保証するもの――ステップファミリーの形成
2 存在を揺るがす小さな存在
3 存在を揺るがす大きな力
4 格差社会への挑戦
5 継父Aの病理――大麻が語るもの
第4章 新生児殺にみる父親の機能不全 眞口良美
1 実父の存在が確認されている事例
2 家族との生活を何よりも大切にしたかった事例
3 二つの事例から共通して見いだされること
第5章 シングルファーザー――苦悩の果てに 小楠美貴
1 両立という功罪
2 シングルファーザーの涙――事例
3 父親の真実
4 セルフネグレクトとは何か
5 親のセルフネグレクト
6 シングルファーザーのセルフネグレクト
第6章 性的虐待と父の自己破壊 中村洋子
1 性的虐待のうねり
2 父から娘への性的虐待
3 父親を駆り立てるもの
4 被害者のセルフネグレクト
第7章 家族崩壊と少年非行との間でセルフネグレクトする父親 木村由美
1 家族崩壊と家庭崩壊
2 家族の危機を家族境界膜で表現する
3 疑似家族と現家族との時間の違い
4 排除された父親と排除されたK男
第8章 子どもと関わることができない父――発達障害の父親のセルフネグレクト 池田信子
1 用語の説明
2 A男の生い立ち
3 A男の青年期
4 A男の結婚
5 A男の家庭内の役割
6 カサンドラ症候群の妻と子ども
7 A男の父親としての役割
8 A男のセルフネグレクト
終 章 「助けて」と言えない父親を支える仕組みを 石川瞭子
1 「助けて」と言えない父親
2 セルフネグレクトと虐待の防止
あとがき 石川瞭子
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