四六判 288ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3434-6 C0036
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奥付の初版発行年月 2018年04月 書店発売日 2018年04月17日 登録日 2018年03月09日
ヘイトスピーチや排外主義による他者への憎悪が拡大する現状を踏まえて、沖縄、基地、戦後復興、「慰安婦」問題、3・11、2015年の安保法制など、暴力が表出する現場を〈痛み〉という感情から思索し、今日的な軍事的暴力の意味を考察する。
軍事的暴力とはいったい何か。基地や兵器はどのような了解のうえに存在しているのか。またそれらは、どのような形で現れるのか。
肯定的であれ否定的であれ「軍」「戦争」「平和」といった言葉があふれ返る一方で、ヘイトスピーチや排外主義による日常的な他者への憎悪が拡大する現状を踏まえるとき、立ち止まり、軍事力や暴力に対して問いを立てることはきわめて重要である。軍事力による被害と痛みははかりきれず、また暴力は日常にも深く関わっているからである。
沖縄、基地、戦後復興、「慰安婦」問題、3・11、2015年の安保法制――暴力が表出する現場を〈痛み〉という感情から思索し、今日的な軍事的暴力の意味を考察する。
序 章 ポストという「まだ見ぬ地平」へ──痛みをめぐる議論に着目して 鄭柚鎮
1 「うんざり」感、あるいは「語りえぬことを語ることについて」
2 旅するという動詞
3 「問題=物質となる身体」へ流─着
4 ポストという生成の場所へ、チラシのような関係へ
第1部 軍事的暴力に関わる言葉
第1章 言葉の始まりについて 冨山一郎
1 平和を作る
2 言葉の停留と始まりについて
3 集団自決
4 証言の手前
5 沈黙は新たな言葉の姿を求めている
第2章 軍隊がある社会で凝視すべき身体の言葉──志願制への主張(韓国)と基地撤去論(沖縄/日本)をめぐる小考 鄭柚鎮
1 ある鈍感さ
2 軍隊がある社会で
3 「基地がある限り」
4 「女と子ども」
5 軍隊がある社会で凝視すべき身体の言葉
第3章 軍事主義に抗する言葉──二〇一五年安保法案をめぐる政治空間を中心に 鄭柚鎮
1 「安全不保障」
2 「苦役」の「プロフェッショナル」
3 「選択」という「責任」
4 軍事化を生きるということ
第4章 占領を語るということ──「沖縄イニシアティブ」と占領状況における「知的戦略」 古波藏 契
1 占領を語るということ、占領状況で語るということ
2 共同事業者を名乗る奴隷
3 継続する占領の鳥瞰図
4 現実主義者のいらだつ身体
5 「沖縄イニシアティブ」を読み直すための指針
第2部 廃墟の予感
第5章 戦後復興を考える──鶴見俊輔の戦後 冨山一郎
1 廃墟について
2 戦後復興
3 研究するということ
第6章 廃墟から紡ぐ絵と言葉──大田洋子がまなざす原爆ドーム 西川和樹
1 カリフォルニアで見た原爆ドーム
2 廃墟の絵と言葉
3 大田洋子が描く原爆ドーム
第7章 三月十一日から軍事的暴力を考える 冨山一郎
1 態度ということ
2 三月十一日を言葉にすること
3 防災の共同体
4 饒舌
5 被曝労働
6 軍事的論理と臆病者の未来
7 そして今
第3部 旅する痛み
第8章 「国民基金」をめぐる議論を再び考える──「支援者から当事者へ」という過程を中心に 鄭柚鎮
1 「被害者のために」「新しい歴史のために」
2 救うべき者
3 保護すべき者
4 聞くということ
第9章 抵抗運動と当事者性──基地引き取り運動をめぐって 大畑 凜
1 基地引き取りという主張と運動の背景
2 連帯をめぐる痛み
3 別の未来へ
第10章 痛みが消えるときをめぐって 島本咲子
1 「痛み」の行方
2 旅する「痛み」へ
3 ゼロを目指して
終 章 旅する痛み──新たな言葉の姿を求めて 冨山一郎
1 すだ
2 自分自身を説明するということ
3 聴く
4 「いいね!」
5 当事者
6 旅する痛み
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