小路田 泰直(編著) / 井上 洋一(編著) / 石坂 友司(編著)
四六判 264ページ 並製
定価 2600円+税
ISBN978-4-7872-3431-5 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月 2018年02月 書店発売日 2018年02月28日 登録日 2018年01月17日
オリンピズムという理念の基本的な理解を押さえたうえで、嘉納治五郎を軸に戦前期日本のスポーツ界とオリンピック受容を論じる。そして、1964年オリンピックの「成長と復興」神話、2020年オリンピックをめぐるシニシズムなどを気鋭が多角的に検証する。
近年のオリンピックは、アスリートや開催地の負担、政治との関係性、残された施設の利活用など、課題が多く指摘される。創始者クーベルタンの理念=オリンピズムと現実の乖離を、私たちはどう考えていけばいいだろうか。
第1部でオリンピズムという理念の基本的な理解を押さえたうえで、第2部で嘉納治五郎を軸に戦時期日本のスポーツ界とオリンピック受容を論じる。そして第3部では、1964年オリンピックにまとわりつく成長と復興という神話、2020年オリンピックをめぐるシニシズム、「その後」との向き合い方などを多角的に議論する。
歴史学・社会学の第一線で活躍する研究者が、オリンピック・オリンピズムと日本社会のこれまでとこれからを鋭く分析する論考集。
序 章 オリンピズムを問うことの現代的意義 井上洋一
1 オリンピックそしてオリンピズムを考える
2 オリンピズムの現代的意義
第1部 オリンピズム誕生と創始者クーベルタンの夢
第1章 近代オリンピックの創出とクーベルタンのオリンピズム 和田浩一
1 オリンピックの仕組みとクーベルタン
2 クーベルタンの思想形成過程
3 近代オリンピックの創出
4 誤解され続けたオリンピズム
5 「知の飛翔」とオリンピズム
第2章 クーベルタンのオリンピズムとスポーツ文学――二十世紀初頭のフランスと日本におけるスポーツと文学の接近 小石原美保
1 クーベルタンのオリンピズム
2 一九二〇年代フランスのスポーツ文学運動
3 日本における芸術家たちのスポーツ・ネットワーク形成
第2部 日本とオリンピズムの出合い
第3章 戦前のスポーツ界の足跡──オリンピック初参加から幻に至るまで 石坂友司
1 大日本体育協会の設立とオリンピックへの初参加
2 国家的スポーツ政策としてのオリンピック
3 東京オリンピックが幻になるまで
第4章 嘉納治五郎の国民体育構想とオリンピズム 井上 俊
1 国民体育の構想
2 国民体育の具体案
3 右派ナショナリズムへの対応
第5章 柔道思想とオリンピズムの交錯――嘉納治五郎の「自他共栄」思想 坂上康博
1 嘉納のオリンピズム理解
2 「自他共栄」思想の登場とその背景
3 嘉納思想のなかの「自他共栄」とオリンピズム
第3部 戦後の日本社会と東京、オリンピズム
第6章 成長の時代の幻像――精神史としての東京オリンピック 内田隆三
1 二〇二〇年への問い
2 一九六四年の幻視と現実
3 日本人の幻像
第7章 「2020」から「1964」へ――東京オリンピックをめぐる〈希望〉の現在 阿部 潔
1 「2020」へと向かう日本
2 「ライバルは、1964年。」
3 戦後ニッポンにおける「1964」
4 〈希望〉としての二〇二〇年東京オリンピック
第8章 ポスト・オリンピックの憂鬱――日本のスポーツと社会の行方 菊 幸一
1 「2020東京」に向けたわが国のスポーツ政策の動向
2 「2020東京」は、その後の日本のスポーツと社会に何をもたらすのか
3 ポスト「2020東京」に向けた日本におけるスポーツ政策の課題
終 章 オリンピックの誕生と世界戦争の危機 小路田泰直
1 オリンピックと世界戦争の時代
2 世界戦争の危機はなぜ起きたか
3 なぜ救いはオリンピックだったのか
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