松井 広志(著)
A5判 242ページ 上製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3422-3 C0036
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奥付の初版発行年月 2017年08月 書店発売日 2017年08月09日 登録日 2017年05月23日
模型を作ることは、モノと向き合いながら同時に、それを通して向こうの「実物」に思いを馳せることでもある。このとき、模型という「モノ」は、ある種の「メディア」になっている。日本社会のなかの模型について、歴史・現在・理論の3つの側面から解き明かす。
インターネット化・デジタル化した社会だからこそ、モノとしての物質性が再評価されている模型。現在、その一番人気は、「機動戦士ガンダム」シリーズに登場する架空の兵器のプラモデルだ。
だが、そもそも兵器が模型の題材になるのは、なぜなのだろうか。また、プラモデル以前の模型が登場したのは、いつの時代なのだろうか。
模型は、「実物」と私たちをつなげると同時に、モノとして「いま・ここ」にある。私たちが模型を作って愛でるとき、モノに触れると同時に、それを通して向こうの「実物」に思いを馳せているのではないだろうか。つまり、模型はある種の「メディア」になっているのではないか。本書ではこれを、歴史・現在・理論の3つの側面から解き明かしていく。
時代の変化と模型の関係について、「モノがメディアになる」という問題意識のもと、社会学の視点から描き出す。
はじめに
序章 模型というモノ/メディア
1 本書の背景
2 モノとメディア
3 模型という分析対象──「実物との関係」と「物質的なモノ」
4 先行研究
5 メディア考古学という方法
6 本書の構成
第1部 歴史
第1章 日本の近代化と科学模型
1 江戸期における模型の起源
2 近代化と科学模型
3 木製・金属製模型と工業化
4 未来の機能を実現するメディア
第2章 帝国日本の戦争と兵器模型
1 模型航空教育と啓蒙
2 兵器模型と戦争
3 物資不足と代用材
4 現在の理念を体現するメディア
第3章 戦後社会とスケールモデル/プラスチックモデル
1 占領期における模型
2 スケールモデルと「趣味」
3 プラスチックモデルと高度経済成長
4 過去の形状を再現するメディア
第2部 現在
第4章 情報消費社会とキャラクターモデル/ガレージキット
1 情報消費社会と模型
2 キャラクターモデルとガンプラブーム
3 ガレージキットとアマチュアリズム
4 虚構の解釈を表現するメディア
第5章 グローバル化・デジタル化と拡散する模型
1 グローバル化・デジタル化と模型
2 フィギュアブームと中国の工業化
3 実物大模型と疑似アウラ
4 記憶と物体のメディア
第3部 理論
第6章 ポピュラー文化における「モノ」──記号・物質・記憶
1 記号
2 物質
3 記憶
4 時空間を媒介するモノ
第7章 「モノ」のメディア論──メッセージ・ネットワーク・オブジェクト
1 メッセージ
2 ネットワーク
3 オブジェクト
4 モノのメディア論
終章 模型のメディア論
1 模型のメディア考古学
2 断絶する時空間と媒介するモノ
3 ポスト・デジタル化社会におけるモノとメディア
おわりに
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