青弓社ライブラリー 87
相澤 真一(著) / 土屋 敦(著) / 小山 裕(著) / 開田 奈穂美(著) / 元森 絵里子(著)
四六判 172ページ 並製
定価 1600円+税
ISBN978-4-7872-3403-2 C0336
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2016年04月 書店発売日 2016年04月25日 登録日 2016年03月24日
敗戦直後の戦災孤児や浮浪児、復興期の家庭環境と子ども、高度成長期における子どもの貧困の脱出と、不可視化する経済問題――1950・60年代の社会調査データで当時の実態に実証的に迫り、新聞報道なども織り込んで、子どもと貧困の戦後を立体的に照らし出す。
2000年代後半から一気に問題化した子どもの貧困。日本社会における格差の拡大に注目が集まるなか、若者・女性・高齢者の貧困の問題や待機児童の問題とともに、解決すべき喫緊の課題として議論されている。
しかし、歴史的なスパンを広げてみれば、貧困環境にある子どもはこれまで多くいて、保護や福祉の対象となってきた。にもかかわらず、新しい事態かのように子どもと貧困の問題を見てしまうとしたら、私たちは何を看過し、何を忘れてしまっていたのだろうか。
敗戦直後の戦災孤児や浮浪児、復興期の家庭環境と子ども、高度成長期における子どもの貧困の脱出と、不可視化する経済問題――復元した1950・60年代の貴重な社会調査データやマクロ統計で当時の実態に実証的に迫り、新聞報道や児童・生徒の「声」も織り込んで、子どもと貧困の戦後を立体的に照らし出す。
序章 子どもと貧困の戦後史 相澤真一
1 いま、注目すべき子どもと貧困の関係史――本書の課題
2 戦後社会のなかの貧困と子ども/現在の「子どもの貧困」
3 本書で使うデータと方法――いま復元される一九五〇年代・六〇年代の貧困をめぐる社会調査資料から
4 本書の構成――一九五〇年代と六〇年代の貧困の見え方の違いから
第1章 社会調査データからみる子どもと貧困の戦後史 相澤真一
1 戦後、破壊された国民生活と貧困に転落した人々
2 戦後の多産少死社会での子どもと貧困――静岡調査の分析から
3 一九五〇年代の貧困からどのようにして脱出できたか――静岡調査の質的分析にみる「中学卒業」の意味
4 教育は貧困を克服する選択肢だったのか?――公開社会調査データの分析からみる一九五〇年代の貧困
第2章 焦土のなかの戦災孤児、浮浪児問題――「親を亡くした子ども」をめぐる「社会表象」の変遷をめぐって 土屋 敦
1 戦災孤児、浮浪児をめぐる「飢餓貧困」
2 「親のない子ども」「親を亡くした子ども」をめぐる新聞記事件数の推移
3 「慈しむべき哀れな孤児像」
4 「不良化し犯罪化する危険な浮浪児像」
5 「平和への祈願としての原爆孤児像」の形成
6 戦災孤児たちの「親探し運動」と「親子再会の物語」
第3章 家庭のなかの子どもからみた学校と戦争――一九五二―五八年 小山 裕
1 なぜ子どもの貧困はみえにくいのか
2 世帯のなかの子どもに迫るためのデータ
3 長期欠席児童・生徒と貧困
4 生徒と労働者の狭間で
5 生活保護受給世帯の子どもたち
6 家庭のなかの子ども――変わったものと変わらないもの
第4章 貧困からの脱却と子どもの高校進学 開田奈穂美
1 高度経済成長期の子どもたちの姿
2 「神奈川県における民生基礎調査」について
3 子どもの高校進学を促進するもの、阻害するもの
4 収入の変化と子どもの有無
5 貧困からの脱却に子どもが果たす役割
第5章 大人と子どもが語る「貧困」と「子ども」――どのようにして経済問題が忘れられていったか 元森絵里子
1 「子どもの貧困」をめぐる実態と言説
2 現実とその反対項、「子ども」という表象
3 社会が語る「貧困」と「子ども」――「現実」語りと「理想」語りのすれ違い
4 子どもが語る「貧困」と「子ども」――「荒波」から「青春」へ
5 貧困という現実の潜在化、子どもという理想の前景化
おわりに 相澤真一
品切れ・重版未定
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