四六判 320ページ 並製
定価 2600円+税
ISBN978-4-7872-3397-4 C0036
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2016年03月 書店発売日 2016年03月05日 登録日 2016年01月22日
「日本経済新聞」 |
留学などで海外に渡る若者は多いが、行政や企業が強く求めるグローバル人材像と当事者たちとの意識のずれは大きい。インターネット調査とフィールドワークから「普通の若者」の海外経験の意味と実態を抽出し、キャリア形成の多様な過程の必要性を提起する。
国際的な産業競争力を向上するために「内向き志向」を改善して海外に目を向け、語学力やコミュニケーション能力、主体性をもつことを期待される若者=グローバル人材。近年では、文科省や経産省がその育成に力を注ぎ、経団連が必要性を訴えている。
留学も含め海外に渡る若者は現在でも多いのにもかかわらず、行政や企業が強く求める「グローバル人材」とはいったい誰なのか。
海外滞在経験をもつ若者ともたない若者へのインターネット調査と、カナダやオーストラリアに実際にやってきた若者へのフィールドワークを組み合わせて、「普通の若者」にとっての海外経験の意味をすくい取り、期待される「グローバル人材」とのズレに、階層やジェンダーという、「若者の意識」だけには還元できない問題があることを明らかにする。そして、「グローバル人材」といった特権的な人材層の育成だけに目を向けるのではなく、若者のキャリア形成の多様性を確保しながら、若者に広い視野を与える環境づくりの必要性を指摘する。
はじめに 加藤恵津子
第1部 若者は「内向き」か?――インターネット調査からみる若者の海外経験と人生 久木元真吾
第1章 若者にとっての海外経験
1 海外に行くということ、行っていないということ
2 海外経験が豊富な若者たち
3 海外経験が(ほとんど)ない若者たち
4 若者たちにとっての海外経験の意味
第2部 「外」に向かう人びと――フィールドワークからみる若者の海外経験と人生 加藤恵津子
第1章 「自分探し移民」とオーストラリア、カナダ――「あれもこれも」の魅惑と困惑
1 「海外」としてのオーストラリア、カナダ
2 誰が「外」に来るのか?――日本の若者たちのプロフィール
3 若者の「人生の場」としてのオーストラリアとカナダ――揺さぶられる三つの境界線
4 「やりたいこと」「仕事」「自分」の三位一体化
第2章 「自分探し移民」と「グローバル人材」――〈自分〉と〈企業〉をめぐるジェンダー・階層
1 「自分探し移民」とは誰か
2 女性化する「自分探し移民」
3 「グローバル人材」言説と男性性(ルビ:マスキュリニティー)
4 ジェンダー内格差と「自分優先」という選択
第3章 「グローバル市民」のスゝメ――帰国者も、移民も、移動者も
1 日本企業と「自分探し移民」の間のギャップ
2 海外経験と自己肯定感・自己推進力
3 「グローバル人材」か「グローバル市民」か
4 帰国者・移民・移動者を含めた「グローバル市民」のスゝメ
あとがき 加藤恵津子
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