藤代 裕之(編著)
四六判 260ページ 並製
定価 1800円+税
ISBN978-4-7872-3391-2 C0036
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2015年10月 書店発売日 2015年10月23日 登録日 2015年06月22日
「ネットは恐ろしい」で終わらせず、無責任な未来像を描くのでもなく、ソーシャルメディアを使いこなし、よりよい社会をつくっていくための15章。歴史や現状の課題、今後の展開をわかりやすく解説する、ありそうでなかった「ソーシャルメディア論」の教科書。
ありそうでなかった「ソーシャルメディア論」の教科書。「ネットは恐ろしい」で終わらせず、無責任な未来像を描くのでもなく、ソーシャルメディアを使いこなし、よりよい社会をつくっていくための15章。
ソーシャルメディアの登場によって個人の発信が容易になり、新たなつながりが生み出され、利便性が向上した。その一方で、誹謗中傷や炎上といったトラブルも後を絶たない。さらに、ソーシャルメディアの投稿とビッグデータが組み合わさることで、個人のプライバシーが暴かれ、人々による新たな監視社会が生み出されている。
本書は、日常的に利用しながらもあまり知られていないソーシャルメディアの成り立ちや裏側を動かす技術、関連する法律、社会的な課題をわかりやすく丁寧に解説することで理解を深め、人や社会とのつながりを再設計するための視点を提示し、「誰もが発信者になる」という新たなメディア環境を生きる力、すなわち現代的なメディア・リテラシーのあり方を提示する。
「ネットは恐ろしい」で終わらせず、無責任な未来像を描くのでもなく、ソーシャルメディアを使いこなし、自由で民主的な社会を構築するためにはどうすればいいのか。メディア、ジャーナリズム、政策、経営、コンピューターサイエンスといった幅広い分野の研究者と、ウェブニュースの編集者など第一線で活躍するメンバーによる情報ネットワーク法学会の研究会「ソーシャルメディア社会における情報流通と制度設計」の2年間に及ぶ討議をまとめた。
企業や大学で増えつつあるソーシャルメディアの研修や講義で活用できるように、平明な文章と読み進めやすい構成を柱に、基本文献案内なども充実させたソーシャルメディア論入門。
はじめに――すべてがつながっていく 藤代裕之
第1部 歴史を知る
第1章 歴史――ソーシャルメディア社会の誕生 藤代裕之
1 ソーシャルメディアの歴史
2 つながりと分断
3 報道とソーシャルメディア
4 ミドルメディアによるマスメディアとの接合
5 公と私が入り交じる空間
第2章 技術――技術的に可能なオープンプライバシー社会とその功罪 木村昭悟
1 技術的に可能なバッドシナリオ「オープンプライバシー社会」
2 「つなげる」技術の仕組みと現状
3 いまそこにあるオープンプライバシー問題
4 「つなげる」技術がもたらす恩恵とのバランス
第3章 法――ソーシャルメディア時代の制度はどうあるべきか 一戸信哉
1 インターネット関連の法整備
2 インターネット上の権利侵害と表現の自由
3 繰り返される著作権法改正
4 「媒介者」の責任――プロバイダ責任制限法
5 インターネット犯罪への対応
6 プライバシーとソーシャルメディア
第2部 現在を知る
第4章 ニュースメディア――「ネットニュース」は公共性を保てるか 伊藤儀雄
1 日本のインターネットにおけるニュースの担い手
2 ニュースを取り巻く3つの「変容」
3 不正確な情報が流通する要因
4 「悪貨」が「良貨」を駆逐する
5 「ネットニュース」と「Yahoo!ニュース」
6 「公共性」を続けられるか
第5章 広告――「ルール間の摩擦」が生む問題 山口 浩
1 ネットが広告ビジネスを変えた
2 「マス」と「パーソナル」が融合する
3 ルール間の摩擦
4 規制の限界
5 広告主の役割
第6章 政治――すれ違う政治と有権者、理想なきインターネット選挙の解禁 西田亮介
1 日本のネット選挙解禁とその経緯
2 ソーシャルメディア時代の政治と選挙制度の設計についての覚書
第7章 キャンペーン――ソーシャルメディア社会の透明な動員 工藤郁子
1 個人を動かすキャンペーン
2 社会を動かすキャンペーン
3 個人が動かすキャンペーン
4 個人が動かされるキャンペーン
5 社会が動かされるキャンペーン
6 解決・提案に向けて
第8章 都市――都市の自由を我々が維持するために 小笠原 伸
1 自由な交流が都市を作る
2 ネット時代の都市での「つながり」と「アジール」、都市の自由さと制約
3 新しいつながりを得るための寛容さの意味と、都市の隙間の発見
4 都市がIT、インターネットと関わり創出する新しい場づくり
第9章 権利――つながりが生み出す侵害の連鎖 新志有裕
1 「名無し」から「個」の時代へ
2 つながりが加速させる「創造性」のサイクル
3 つながることで、気軽に権利侵害してしまう
4 つながりが「私刑」を加速させる可能性
5 「負の連鎖」を防ぐための仕組み
6 個人の意識かどう変わるか
第10章 モノ――「あらゆるモノがつながる社会」のメリットとデメリット 小林啓倫
1 ネットにつながるモノの急増
2 IoTの歴史
3 つながるモノが生み出す価値
4 「あらゆるモノがつながる」社会の姿
5 ディストピアを回避するために
第3部 未来を考える
第11章 メディア――都市と地方をつなぎ直す 藤代裕之
1 加速する東京視点
2 「ソーシャル鎖国」でつながりを制限する
3 つながる人数を限定する
4 価値はコミュニティーにあり
5 兼業メディアの可能性と課題
第12章 共同規制――ルールは誰が作るのか 生貝直人
1 情報社会のルール形成主体
2 事業者に対する規制
3 媒介者を通じた個人の規制
4 国際的なルール形成の可能性
5 自由と安全の両立のために
第13章 システム――システムで新たなつながりを作る 五十嵐悠紀
1 つながりすぎたソーシャルメディア社会
2 つながらない設計による解決
3 ノイズが交ざる設計による解決
4 フィルターバブルによるセレンディピティーの減少
5 人や機械による編集の課題
6 情報リテラシー教育の必要性
第14章 教育――「発信者」としての大学生はどうあるべきか 一戸信哉
1 「キャンパス」という聖域は崩れた
2 複数アカウントで「キャラ」を使い分ける
3 就職活動とソーシャルメディア
4 トラブル対策とソーシャルメディアガイドライン
5 「学生発」ウェブメディアの可能性
第15章 人――「別の顔」を制度化する 山口 浩
1 「つながり」のリスクとジレンマ
2 「分人」による有限責任制
3 分人制度の実装
4 事業者の責任
5 分人制度が目指すもの
あとがき 一戸信哉
品切れ・重版未定
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電話:03-3268-0381
ファクス:03-3268-0382
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