アスリートを育てる〈場〉の社会学 民間クラブがスポーツを変えた

社会一般

松尾 哲矢（著）

A5判 　256ページ　並製
定価　2000円＋税
ISBN978-4-7872-3388-2　C0036
在庫あり

奥付の初版発行年月　2015年05月
書店発売日　2015年05月17日
登録日　2015年02月27日

紹介

民間スポーツクラブのめざましい台頭が青少年期のアスリート養成のあり方や制度に大きな刺激を与え、スポーツ界全体の構造を変化させている。民間スポーツクラブの誕生と発展、学校運動部とのせめぎ合いをたどり、アスリートを養成する〈場〉の変容に迫る。

目次

序章　変わりゆくアスリート
　１　スポーツ〈場〉と象徴闘争
　２　アスリート養成〈場〉と再生産
　３　文化的正統性の獲得と再生産戦略
　４　文化資本とハビトゥス

第１部　民間スポーツクラブの誕生・発展過程とアスリート養成〈場〉の変動

第１章　東京オリンピックに向けた戦後アスリート養成〈場〉の地殻変動――民間スポーツクラブ誕生への胎動
　１　学校運動部の歴史的展開と学徒の対外運動基準に関する戦前からの動き
　２　戦後日本でのアスリート養成〈場〉の変動過程――一九四八―六五年を中心に

第２章　アスリート養成〈場〉の変動と民間スポーツクラブの誕生
　１　東京オリンピック後の新しいスポーツ競技〈場〉への熱望
　２　民間スポーツクラブの誕生と全国組織化
　３　アスリート養成〈場〉の変動と民間スポーツクラブの誕生

第３章　民間スポーツクラブの発展過程
　１　水泳をめぐる民間スポーツクラブの発展過程
　２　サッカーをめぐる民間スポーツクラブの発展過程
　３　体操競技をめぐる民間スポーツクラブの発展過程

第４章　民間スポーツクラブの正統性の獲得過程と学校運動部の葛藤
　１　東京オリンピック以後の児童・生徒の対外試合の位置づけと学校運動部
　２　民間スポーツクラブの学校機関主催の大会への参入と学校運動部の葛藤

第５章　各競技団体での民間スポーツクラブの承認過程と葛藤
　１　日本体操協会での民間スポーツクラブの承認過程とその背景
　２　民間スポーツクラブをめぐる日本サッカー協会内部での動きと葛藤
　３　日本水泳連盟での日本スイミングクラブ協会の承認過程と葛藤

第６章　教育〈場〉の変動と民間スポーツクラブの発展
　１　スポーツ活動に関連した教育〈場〉の変動と民間スポーツクラブの拡大
　２　私立大学・高校の経営戦略と民間スポーツクラブ
　３　学習塾の発展過程からみた民間スポーツクラブの発展要因

第２部　民間スポーツクラブ、学校運動部の再生産戦略とアスリート文化の再生産

第７章　運動部とクラブ間のハビトゥス様相の差異と民間スポーツクラブの再生産戦略――競技者間・指導者間比較を通して
　１　分析枠組み
　２　調査の概要
　３　運動部競技者とクラブ競技者の比較
　４　運動部指導者とクラブ指導者の比較
　５　民間スポーツクラブの再生産戦略

第８章　学校運動部の再生産戦略と葛藤
　１　運動部指導者の教育戦略
　２　競技者と保護者、そして組織運営上の対人戦略
　３　学校運動部の文化的正統性をめぐる戸惑いと葛藤

第９章　大学運動部での学校運動部文化とクラブ文化の再生産の様相――大学運動部での運動部出身者とクラブ出身者の意識変容から
　１　調査の概要
　２　スポーツに関する行動習慣・マナー・規範の変容
　３　学校運動部と民間スポーツクラブに対する表象、スポーツ観などの意識変容
　４　大学運動部での運動部文化とクラブ文化の再生産の様相

終章　アスリートを育てる〈場〉――現在とこれから
　１　アスリートを育てる〈場〉の変動を読む
　２　これからのアスリートを育てる〈場〉を読む

参考文献

あとがき

著者プロフィル

松尾　哲矢（マツオ テツヤ）

1961年、福岡県生まれ。立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科教授、博士（教育学）。専攻はスポーツ社会学。共編著に『福祉社会のアミューズメントとスポーツ』（世界思想社）、共著に『総合型地域スポーツクラブの時代 第２巻――行政とクラブとの協働』（創文企画）、『変わりゆく日本のスポーツ』（世界思想社）、『身体感覚をひらく』（岩波書店）など。

上記内容は本書刊行時のものです。