〈スキャンダラスな女〉を欲望する 文学・女性週刊誌・ジェンダー

社会科学

井原 あや（著）

四六判 　216ページ　上製
定価　2600円＋税
ISBN978-4-7872-3381-3　C0036
在庫あり

奥付の初版発行年月　2015年01月
書店発売日　2015年01月22日
登録日　2014年12月11日

紹介

太宰治の恋愛と情死の報道、情熱の女＝柳原白蓮、松井須磨子の道ならぬ恋、ミッチー・ブームを経て隆盛を極める女性週刊誌、そこに躍る女性のスキャンダル……。女性をスキャンダルの渦に巻き込み、身体や生を物語化して消費の対象にする構造を解き明かす。

目次

凡例

はじめに

第１部　スキャンダルを描く──〈太宰治〉の周縁

第１章　「斜陽」のざわめく周縁──〈太田静子〉のイメージ化
　１　太宰治「斜陽」と太田静子『斜陽日記』
　２　〈「斜陽」のモデル〉という言説
　３　広告としての『斜陽日記』
　４　〈書く女〉の商品価値
　５　「文学少女」とテクスチュアル・ハラスメント
　６　〈太田静子〉というイメージ

第２章　こぼれ落ちる声──太田治子『手記』と映画『斜陽のおもかげ』
　１　生み出される痕跡
　２　『手記』と『斜陽のおもかげ』
　３　母はどのように描かれたか
　４　こぼれ落ちる声

第３章　「情死」の物語──マス（大衆）メディア上に構築された〈情死〉のその後
　１　「情死報道」と作家イメージ
　２　選び取られた〈物語〉
　３　「情死」を描く──小島政二郎「山崎富栄」と田辺聖子「実名連載小説」
　４　神話化する作家と山崎富栄の〈物語〉

第２部　スキャンダルを連載する──〈女〉を語る

第４章　「禁じられた恋」のゆくえ──女性週刊誌「ヤングレディ」に掲載された「実名連載小説」をめぐって
　１　女性週刊誌という「夢」
　２　「ヤングレディ」と「実名連載小説　禁じられた恋に生きた女たち」
　３　「禁じられた恋」のゆくえ──「女流作家」たちが内面化したもの
　４　女性週刊誌という「夢」？

第５章　「情死」はいかに語られたか──「ドキュメント情死・選ばれた女」をめぐって
　１　文学を語る女性週刊誌
　２　「ドキュメント情死・選ばれた女」
　３　「いま」・ここの出来事として
　４　「選ばれた女」たち

第６章　女性週刊誌で「ヒロイン」を語るということ──石垣綾子「近代史の名ヒロイン」を考える
　１　女性週刊誌「微笑」の誕生
　２　石垣綾子「近代史の名ヒロイン」
　３　写真から立ちのぼる「ヒロイン」の姿
　４　「自伝」を読むという行為

終　章　〈女〉を語る場
　１　「明治百年」と女性週刊誌
　２　女性週刊誌のその後
　３　ミソジニーの現場

初出一覧

おわりに

著者プロフィル

井原　あや（イハラ アヤ）

1977年、静岡県生まれ。大妻女子大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、博士（文学）。現在、亜細亜大学、大妻女子大学、相模女子大学、実践女子大学非常勤講師。編著に『名古屋のモダニズム』（ゆまに書房）、共著に『新世紀太宰治』（双文社出版）、『戦後詩のポエティクス』（世界思想社）、論文に「太宰治研究──〈女語り〉とその周縁」（大妻女子大学、2007年）ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。