中谷 いずみ(著)
四六判 336ページ 上製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3358-5 C0036
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2013年07月 書店発売日 2013年07月12日 登録日 2013年05月15日
1930年代と50年代、それは人々が主体性に目覚め、闘争や自己表現を集団で企てた時代だった――戦争文学から綴方運動、女性運動、原水爆言説を議論の対象にして、多様な表象行為を実践する人々のありようを解きほぐし、〈民衆〉の今日的な可能性に迫る。
はじめに
第1部 一九三八年、拡張する文学――周縁の発見と包摂
第1章 「民族」の〈歴史性〉と「民衆」の〈普遍性〉――島木健作『生活の探求』、火野葦平『麦と兵隊』
1 「民衆」「大衆」へのまなざし
2 「民衆」の称揚が意味するもの
3 「農民」ないし「民衆」の表象――島木健作『生活の探求』
4 「民族」の境界を越えて――火野葦平『麦と兵隊』
5 「文学」への期待
第2章 周縁を表象する書き手たち――豊田正子『綴方教室』、火野葦平『麦と兵隊』
1 『綴方教室』ブーム
2 綴方の文体規範と書き手像
3 火野葦平『麦と兵隊』の語り
4 ジャンルを超える価値
5 拡張する文学
第3章 「少女」たちの語りのゆくえ――太宰治「女生徒」「千代女」とその周辺
1 鑑賞すべき「生地のよさ」
2 「何心なく」書くこと――太宰治「千代女」
3 「女生徒」のセクシュアリティ
4 太宰治の「青春」と「少女」たちの語りのゆくえ
第2部 一九五〇年代、綴る/語る女たち――発話の政治性あるいはマジョリティ形成とアイデンティティ
第4章 「人民文学」と〈書くこと〉――階級的視点と国民文学論
1 「人民文学」という雑誌
2 「勤労者」の文学
3 労働者階級は何を(傍点2字)書きうるのか
4 「国民文学」をめぐって
5 どのように(傍点5字)書くべきなのか
第5章 「私」を綴る「人びと」――一九五〇年代における「綴方」
1 「綴方」をめぐって
2 江口江一「母の死とその後」
3 意識へのまなざし――一九五〇年代の言説空間
4 表象される「なかまたち」
5 無色な「大衆」の登場
第6章 泣く「女」たち――「平和」の語りとジェンダー
1 『二十四の瞳』と日本教職員組合婦人部
2 模索される「女教師」像――第一回婦人教員研究協議会とジェンダー
3 報告から語りへ――『扉をひらくもの』と『母と女教師と』
4 〈愛〉と〈無力〉――映画『二十四の瞳』
5 「涙」の力
第7章 〈未来〉の諸相――原水爆禁止署名運動とジェンダー
1 原水爆禁止署名運動
2 女性表象と未来志向
3 破綻する時間の物語――大田洋子『夕凪の街と人と――一九五三年の実態』
4 〈未来〉は誰のものか
5 〈未来〉の諸相
終章 〈無色〉な主体のゆくえ――「声」の承認をめぐって
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