戦後・暴力・ジェンダー 3
四六判 324ページ 上製
定価 2800円+税
ISBN978-4-7872-3319-6 C0336
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2010年10月 書店発売日 2010年10月22日 登録日 2010年10月19日
日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」の意義とアクティビスト松井やよりの思想性を振り返り、再評価する。「法廷」を経て今後より明確に把握されるべきマイノリティなどの視点をふまえながら、現代のフェミニスト・エシックスの可能的地平を切り開く。
「戦後・暴力・ジェンダー」全三巻の刊行にあたって 大越愛子/井桁 碧
はじめに――松井やよりの遺志を受け継いで 大越愛子
第1部 松井やよりの軌跡と「法廷」の意義
第1章 戦後思想に抗するフェミニズム――松井やよりの軌跡 大越愛子
1 戦後フェミニズムのなかで位置づける
2 人生の原点
3 ウーマン・リブへの共感とその相対化
4 アジアからの視点
5 日本軍性奴隷制問題への取り組み
6 松井やよりが遺したもの
第2章 「証言」する女たちを記憶する 井桁 碧
1 「不正義」と名づけること
2 人間を信じる力を破壊されること
3 「拷問」を受けた、と語ること/聞くこと
4 「性奴隷」とされること――同意する自由を剥奪されていたこと
5 証言する性の主体としての「自由」を遂行する
6 「証言」する女たちを記憶する
第3章 女性国際戦犯法廷は日本人「慰安婦」をどう位置づけたか 西野瑠美子
1 日本人「慰安婦」とは誰か
2 姿なき日本人「慰安婦」
3 女性国際戦犯法廷は日本人「慰安婦」をどう捉えたか
4 今後の課題
第4章 沈黙をやぶった女性たちの声を記録し、伝えていくという闘い 池田恵理子
1 バックラッシュの十年
2 「慰安婦」制度は日本の“権威”を脅かす“汚点”
3 女性国際戦犯法廷の全貌を伝えなかった日本のマスメディア
4 映像による記録運動とwamの開館
第5章 尹貞玉論覚書 鈴木裕子
1 フェミニストの視座――家父長制社会への「挑戦」から問題に向き合う
2 「被害者」第一への視点
3 日本強制占領(植民地支配)下での「体験」と日本軍「慰安婦」問題への取り組み
第6章 女性国際戦犯法廷後の韓国女性運動と日本――フェミニズム、ナショナリズム、植民地主義 金富子
1 「法廷」まで――韓国挺対協の二つの問題提起
2 「法廷」以後――国民基金総括と韓国挺対協・韓国ナショナリズム批判
3 韓国挺対協の運動をどう見るか
4 韓国挺対協の新たな闘い――韓国の家父長的な民族主義
5 フェミニズム、ナショナリズム、植民地主義
第7章 括弧付きの言葉たちへ――宮古島、その「異質」の沖縄戦からの問いかけ 洪★王偏に允★伸
1 「集団自決」「従軍慰安婦」そして、私
2 宮古島での「生活空間」の「要塞化」
3 明治節で響く「アリラン」と綺麗な人
4 宮古島での「捨て石作戦」と「慰安所」
5 「喰い延ばし戦」と「慰安婦」
第2部 「倫理」の可能的地平に向けて
第8章 NHK番組改編(改変)問題と二つの「暴力」のコラボレーション――象徴天皇制の構造的暴力と政治的敵対性の除去 倉橋耕平
1 事件の経緯と裁判の概要
2 事実確認的なことが行為遂行的
3 ディセンサスとコンセンサス
第9章 帝国の娘――シシリー・ウイリアムス 中原道子
1 帝国の娘
2 戦争が医学部の門戸を開いた
3 クワシオーコル(Kwashiorkor)の発見
4 イギリス領マラヤへの放逐
5 差別の帝国
6 「ミルクと殺人」
7 日本軍による軍政
8 シンガポール敵性外国人収容所
第10章 もう一つの戦後・暴力・ジェンダー――国連安保理決議一三二五をめぐる問題から考える 土佐弘之
1 国連安全保障理事会決議一三二五とその意味
2 平和構築という名の暴力的秩序の再建
3 始原としての恐怖の政治と暴力
4 セキュリタイゼーションと集団的アイデンティティの構築
第11章 グローバル化と「女性の人権」 江原由美子
1 婦人参政権の確立と政治的・経済的平等をめぐる問題
2 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ――「性と生殖」をめぐる「女性と人権」の新しい課題(1)
3 女性に対する暴力――「性と生殖」をめぐる「女性と人権」の新しい課題(2)
4 グローバル化と「女性の人権」という問題
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