日本学叢書 3
A5判 424ページ 上製
定価 3400円+税
ISBN978-4-7872-3317-2 C0339
在庫あり
奥付の初版発行年月 2010年07月 書店発売日 2010年07月23日 登録日 2010年07月13日
「読売新聞」 |
宿命的に歴史経験を背負わせ、当事者として据え置いたうえで、饒舌に、また正当性を競い合いながら解説される「沖縄問題」。饒舌な語りを回避しながらそれが何を恐れて発された言葉なのかを問い、経験に関わる言葉の連累の可能性を多角的に照らし出す。
“世界のどこかで私を待っている人”へ──「日本学叢書」刊行にあたって 川村邦光
序 章 歴史経験、あるいは希望について 冨山一郎
1 誰の経験なのか
2 未決性について
3 沖縄戦後史
4 飢えの思想
5 主権という問題、あるいは再び未決性について
6 連累する経験
7 希望について
8 暴動の予感と媒介する言葉たち──討議へ
第1部 主権という問題
第1章 沖縄という言語道断、あるいはその語りの不可能性──国学としてのアメリカ研究と冷戦アジア研究の共犯的忘却 米山リサ[沈正明訳]
1 大城立裕の「カクテル・パーティー」における沈黙の修辞
2 冷戦の知の政治──「カクテル・パーティー」における「文化トーク」
3 ポスト・ナショナルな知に向けて──危険性と可能性
第2章 韓国における沖縄学の現在──●●(ゆぅぐぅ)と●●(りゅぅきゅぅ)の間 洪★王偏に允★伸
1 一九六〇年代、呼び名、琉球=「ゆぅぐぅ」の登場
2 加速する軍事独裁時代──韓国民俗学のなかの「おきなわ」
3 韓国における日本学と『海東諸国紀』の「ゆぅぐぅ」
4 旅する「恨」──強制連行地としての「おきなわ」
5 「共感」と「連帯」という問題
第3章 米軍統治下の沖縄における出入管理制度と「非琉球人」 土井智義
1 「非琉球人」の経験
2 「非琉球人」の登場
3 擬似「国家」化される「琉球」──奄美「復帰」と新出入管理令
第4章 沖縄戦後史とは何か──県内移設反対運動の背後にある歴史意識 森 宣雄
1 無主権の歴史
2 主権性の回復主体としての社会運動
3 主権性・党派性からの存在の解放思想
4 〈沖縄戦後史〉の現在
第2部 連累する経験
第5章 「ジェンダーの視点」から生まれる関係性──沖縄の女性関連施設における労働過程に関する一考察 成定洋子
1 労働、経験、主体
2 女性関連施設
3 ジェンダーの視点
第6章 島の経験を受け継いで──慶良間諸島における「集団自決」と共同体 門野里栄子
1 出来事から遠ざけるもの
2 謎
3 課題
4 沈黙
5 共同体
6 ともに生きる
第7章 もうひとつの「沖縄戦」──疎開と沖縄出身者社会 上地美和
1 沖縄における疎開
2 本土決戦への統合の論理(1)──地域社会と沖縄人
3 本土決戦に向けての統合の論理(2)──国民国家と沖縄人
4 「敗戦」と疎開者の生活世界
第8章 近代沖縄における移動と芸能──南洋群島からの視点 栗山新也
1 役者たち
2 「蛇皮線」の音
3 芸能がついてまわる
第3部 希望について
第9章 暴力と歓喜──フランツ・ファノンの叙述と目取真俊『虹の鳥』から 金城正樹
1 テロリズム、非暴力行動、敵対性
2 政治的正しさをめぐって
3 変状する思考と身体──フランツ・ファノン「アルジェリアはヴェールを脱ぐ」
4 自然で、必然であるということ──「希望」
5 暴力、認知、愛──『虹の鳥』
6 反規範の政治
第10章 怒りの海からの奮起──アメリカ軍占領下の沖縄におけるコザ蜂起 ウエスリー上運天[新垣誠訳]
1 コザ蜂起
2 国内・国外植民地主義、性的植民地主義が結合する場としてのコザ
3 怒りの海のコザ蜂起を図面化する
訳者あとがき 新垣 誠
第11章 「安保の問題を女の問題として矮小化するな」という主張をめぐるある政治──感情問題をめぐる政治の葛藤、あるいは葛藤という政治 鄭柚鎮
1 痛みという身体感情
2 ある距離に関する想像
3 関係性としての痛み
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