A5判 240ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3312-7 C0036
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奥付の初版発行年月 2010年03月 書店発売日 2010年03月23日 登録日 2010年03月16日
戦前・戦中とは切断されて一新したものとして流通している「戦後」のイメージはどのように作り出され、受け止められているのか。映画やマンガ・アニメ・文学などの表象文化を取り上げて、アイコン化された「戦後」イメージに抗する思想的作法を照射する。
はじめに 藤木秀朗
第1章 ワンダーランド・ヤスクニ――ポップ・ナショナリズムの現在 シュテフィ・リヒター[小林敏明訳]
1 新しいナショナリズムの流れ
2 ポップ・ナショナリズム
3 つのだひろの場合
4 新世代の登場
5 新旧の役割配置
6 フリーター・ナショナリズム
第2章 歴史の消費──高橋和巳『散華』『堕落』における戦中戦後の〈重ね書き〉 坪井秀人
1 いま高橋和巳を評価すること
2 『散華』『堕落』の時代
3 〈重ね書き〉される戦中/戦後
第3章 “感触"としての戦後――石川淳、金子光晴が描いた〈皮膚〉と〈孔〉 天野知幸
1 〈触れる〉ことと〈陥没〉すること
2 皮膚的想像力と戦後の物語化
3 戦後を拒み、嘲る〈孔〉
4 「闇」を隈なく照らし出す言葉と〈声〉
5 「私」が「闇」となることの恐怖と魅惑
第4章 戦後のネオテニー――手塚治虫、そして戦前における多種の理想 トーマス・ラマール[大崎晴美訳]
1 手塚と戦後
2 多種の理想
3 国家的な寓意の彼方へ
4 ネオテニー
第5章 ロボットイメージと戦後 馬場伸彦
1 戦後復興とロボット漫画
2 ロボットイメージの実現化
3 分身ロボット『鉄腕アトム』
4 アトムと原子力の平和利用
5 戦争の遺物『鉄人28号』
6 機械の労働者『R・U・R』
7 一九八〇年=ロボット元年
8 産業用ロボット『わたしは真悟』
9 アトムの末裔
10 サイボーグ技術のゆくえ
11 ユビキタス社会と『攻殻機動隊』
12 ロボット戦争兵器
第6章 押井守原作『腹腹時計の少女』における「戦後」表象 水川敬章
1 押井守の歴史表現と「ケルベロス・サーガ」
2 『人狼』――暴力と少女の主体をめぐって
3 『女立喰師列伝』――存在の不確かさをめぐって
4 『腹腹時計の少女』――いまだ出来せざる「戦後」史のイメージへ
第7章 小津映画の戦後とモダニズム 洞ヶ瀬真人
1 日本映画の戦後の「近代」と小津映画
2 「モダニズム」と小津
3 戦後の「近代」と『東京物語』
第8章 富士山とレーニン帽――映画『赤線基地』(一九五三年)と「反米」 中村秀之
1 『赤線基地』を紹介する
2 「反米映画」としての『赤線基地』――アメリカ人からの批判
3 映画としての『赤線基地』――同一性をめぐるせめぎ合い
第9章 「戦後」の視覚的再配置――写真集の歴史表象 藤木秀朗
1 目的論的歴史表象から破局的歴史表象へ
2 記録からノスタルジーへ
3 ナショナルな歴史とオルターナティヴ
4 ナショナルな歴史を超えて
おわりに 坪井秀人
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