日本学叢書 1
川村 邦光(編著)
A5判 250ページ 上製
定価 3400円+税
ISBN978-4-7872-3269-4 C0339
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2007年02月 書店発売日 2007年02月23日 登録日 2010年02月18日
「神がかり」「憑く」などの言葉で表される心身状態=憑依は、近代日本で豊かな宗教的・儀礼的意味を剥ぎ取られ、狂気や精神異常として生活世界から駆逐された。憑依が統制・弾圧の対象になっていく歴史的過程をたどり、文化的・社会的な抗争の内実に迫る。
“世界のどこかで私を待っている人”へ──「日本学叢書」刊行にあたって 川村邦光
はじめに 川村邦光
第1章 近代日本における憑依の系譜とポリティクス 川村邦光
1 明治政府の宗教・民間宗教者政策
2 啓蒙家・開化論者の憑依/狐憑き論
3 精神病学者の狐憑き/憑依論
4 狂気と治安、精神病者監護法の成立
5 憑依霊/憑依観の変遷
6 中山みきの憑依とポリティクス
7 飯降伊蔵と憑依の共同体の再編
8 出口なおと憑依の身体
9 憑依を再解釈するスピリチュアリズム
10 ユタ裁判とユタ征伐
11 憑依の行方──王仁三郎の憑依戦略
第2章 歴史の記述と憑依──飯降伊蔵の「おさしづ」と親神共同体をめぐって 永岡 崇
1 歴史家と憑依
2 飯降伊蔵の憑依と歴史の展開
第3章 明治期日本の知識人と神智学 吉永進一
1 神智学
2 神智学と日本仏教
3 姉崎正治と丁酉会
4 ポイント・ロマ
5 神智学徒スティーブンソン
6 成瀬仁蔵
第4章 憑依が精神病にされるとき──人格変換・宗教弾圧・精神鑑定 兵頭晶子
1 精神病としての再定義
2 精神鑑定を準備するもの
3 第一次大本事件と精神鑑定
第5章 巫者の平和学──沖縄の霊的感受性と「死をふまえた平和の知」 佐藤壮広
1 視点と方法
2 沖縄の民間巫者と戦死者
3 民間巫者ユタの儀礼と「平和の礎」
4 巫者と平和祈願
5 考察と結論
第6章 憑依を肯定する社会──沖縄の精神医療史とシャーマニズム 塩月亮子
1 沖縄における憑依の位相
2 精神医学における「カミダーリ」の定義
3 心理療法家を訪れたカミダーリ症状の人々
4 沖縄の精神医療史
第7章 憑依と演劇──メディアの向こうの「なまなましい」身体をめぐって 畑中小百合
1 なまなましい憑依
2 憑依というメタファー、演劇という枠組み
3 真か?偽か?──タレント霊能者の宿命
4 メディアと憑依──飯塚友一郎の「演劇性」
5 テレビの向こうの憑依
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