青弓社ライブラリー 47
四六判 268ページ 並製
定価 1600円+税
ISBN978-4-7872-3267-0 C0336
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2006年11月 書店発売日 2006年11月27日 登録日 2010年02月18日
人造人間文学と優生学、映画=複製技術、『PLUTO』の破壊されるロボット、『イノセンス』の〈ゴースト〉……。表象の領域に立ち現れる「機械と身体」の節合と軋みに目を向け、その差異に照準して、私たちの身体を取り巻くメカニズムと可能性を解読する。
はじめに 吉田司雄/アンヌ=バヤール・坂井
1 「機械=身体」を見つめかえすために 吉田司雄
2 「からだ」が海を渡るとき アンヌ=バヤール・坂井
第1章 モダニズム文学と「破砕される身体」──江戸川乱歩・葉山嘉樹・宮沢賢治 押野武志
1 一九二〇年代前後のユートピア思想と実践
2 「パノラマ島奇談」──エロスとしての身体
3 「セメント樽の中の手紙」──商品としての身体
4 未来派的身体
5 「グスコーブドリの伝記」──供儀としての身体
6 ファシズムの身体
第2章 マッド・サイエンティストの子供たち──昭和初期の人造人間文学と優生学 中村美理
1 フランケンシュタイン的な想像
2 「マッド・サイエンス」文学におけるジェンダー・プレー
3 「恋愛」が欠けている出産
4 優生学における矛盾
第3章 瀧口修造の手──シュルレアリスムの「機械」のために 齊藤哲也
1 「目」と「手」
2 「手」と「機械」
3 「機械」の倫理
4 「機械」と「人間」
5 「機械」、この不透明なもの
第4章 〈差異〉の身体=機械学──藤枝静男『空気頭』論 佐藤淳二
1 日本零(ルビ:ゼロ)年──重層的空虚
2 天皇制と親密さ──浮遊する無意味
3 〈存在論〉的、〈私小説〉的──純粋周縁的機械学
4 『空気頭』──身体=機械のグロテスク・カーニヴァル
5 可視性の系譜学から善悪の彼岸へ
第5章 光の使者=成瀬巳喜男──『鶴八鶴次郎』論 中山昭彦
1 “亡霊”の出現
2 映画の原初的な光景
3 愚鈍な差異の輝き
4 光に感応する情動
コメント 「亡霊」と出合ったとき 応 雄
第6章 日本の〈怒れる若者〉と女性身体をめぐる闘争 水溜真由美
1 「反抗する若者」の出現
2 若者と大人のヘゲモニー闘争
3 男同士の闘争と共犯関係
第7章 ロボット物語における記憶と死──『プルートゥ』試論 馬場伸彦
1 不完全な人間
2 代理の身体
3 探偵するロボット
4 家族と生
5 兵器としてのロボット
6 プルートゥとは何者か
7 機械の情動
8 記憶と身体
第8章 ピグマリオン神話の現在形──押井守『イノセンス INNOCENCE』の向こうに 吉田司雄
1 「萌える男」の登場
2 「ゴースト」を求めて
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