復刊選書 8
川村 邦光(著)
四六判 216ページ 並製 定価 2000円+税 ISBN978-4-7872-3264-9 C0339 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2006年10月 書店発売日 2006年10月12日 登録日 2010年02月18日
近代化の波のなか、民俗社会の危機的な状況に浮上したさまざまな事件──血税一揆、トラホーム、狐憑き、座敷牢などを軸として、変容する民衆の心性・コスモロジーと、それが国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。
はじめに──厄災の「民俗」あるいは歴史の記憶からの出立 I 〈迷信〉と感情教育 1 「血税一揆」の民俗的心性 「血取り」「膏取り」の流言/「血税一揆」の生成/「血取り」のフォークロア/〈異人〉のフォークロア/〈異人〉の再生 2 トラホームと感情教育 文明開化と〈迷信〉/〈迷信〉のあぶりだし/病いと衛生/トラホームの出現/「迷信を避けよ」/感情教育への水路 II 狐憑きから「脳病」「神経病」へ 1 狐憑きの民俗 狐憑きの報道/近世の狐憑き論/生活世界での狐憑き/民俗治療と処遇 2 精神医学の狐憑きへの視線 狐憑きのフィールド・ワーク/ベルツの狐憑き論/呉秀三の狐憑き論/門脇真枝の狐憑き論 3 「脳病」「神経病」のイデオロギー 「脳病」「神経病」の来歴と流布/感覚・知覚の変容/「脳病」「神経病」薬の効能/「脳病」「神経病」の通俗化/イコン III 座敷牢と幻視する霊魂 1 座敷牢の生産 相馬事件と「精神病者監護法」/座敷牢の実態/座敷牢のフォークロア 2 狐憑きから妄想へ 狐憑きの試練/「芦原将軍」の闘争/「妄想」考/パロディスト「芦原帝」 3 出口なおの近代/日常性批判 霊魂の覚醒/死と再生の空間/世の立替え/みたまの立替え/水晶のみたま/メディアとしての自己組織化 IV 近代日本と霊魂の行方 1 位牌の漂泊 「家殺し」の時代/祖先教の登場/先祖の再発見 2 霊魂の近代 日露戦争と心の交通/遊離魂の前線への逃亡/靖国教の霊魂管理/忠魂祭祀と人神思想/霊魂の記号化/先祖供養と民衆救済/死者との共存―共闘 あとがき
品切れ・重版未定