青弓社ライブラリー　41

浮遊する「記憶」

矢野 敬一（著） /　木下 直之（著） /　野上 元（著） /　福田 珠己（著） /　阿部 安成（著）

四六判 　208ページ　並製
定価　1600円＋税
ISBN978-4-7872-3248-9　C0336
品切れ・重版未定

奥付の初版発行年月　2005年09月
書店発売日　2005年09月22日
登録日　2010年02月18日

紹介

個人的なものでありながら、社会を結合させ分断させる記憶。その記憶をめぐる言説空間には何が立ち上がってくるのだろうか。記憶をめぐる問題群を多様な視点から検証し、私たちを揺さぶり、私たちに揺さぶられる記憶の政治性を照らし出す論考集。

目次

はじめに　金子　淳

第１章　祖先と記憶をめぐる政治と知の編成──国民道徳論と柳田国男　矢野敬一
　１　一冊の絵本から
　２　国民道徳論の展開と祖先の位置付け
　３　祖先をめぐる記憶の再編成
　４　祖先をめぐる知の展開──柳田国男と祖霊信仰論

第２章　上野戦争の記憶と表象　木下直之
　１　なぜ上野なのか
　２　碧血碑
　３　官軍墓地
　４　創建神社
　５　上野公園
　６　上野パノラマ館

第３章　「戦争の記憶」の現在　野上　元
　１　「戦争体験」と「戦争体験記」との間
　２　「戦争の記憶」の継承と断絶

第４章　地域の記憶──異質性と均質性の間で　福田珠己
　１　選択された地域の記憶──沖縄県八重山郡竹富島の事例から
　２　記憶は誰のものか──アメリカ・シラキュース市における地域像形成をめぐって
　３　異質性と均質性の間で

第５章　記憶から歴史へ／歴史から記憶へ　阿部安成
　１　戦争
　２　直弼
　３　震災

著者プロフィル

矢野　敬一（ヤノ ケイイチ）

1963年生まれ。静岡大学教育学部助教授。専攻は日本民俗学、近・現代文化史。著書に『慰霊・追悼・顕彰の近代』（吉川弘文館、近刊予定）、『写真家・熊谷元一とメディアの時代』（青弓社、近刊）、共著に『現代民俗誌の地平3　記憶』（朝倉書店）など。

木下　直之（キノシタ ナオユキ）

1954年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は近代日本美術史。著書に『世の途中から隠されていること』（晶文社）、『ハリボテの町』（朝日新聞社）、『美術という見世物』（平凡社）など。

野上　元（ノガミ ゲン）

1971年生まれ。日本女子大学人間社会学部助手。専攻は歴史社会学、社会情報学。共著に『戦死者のゆくえ』『一九三〇年代のメディアと身体』（ともに青弓社）。論文に「原民喜、以後」（「現代思想」2003年8月号）など。

福田　珠己（フクダ タマミ）

1965年生まれ。大阪府立大学人間社会学部助教授。専攻は文化地理学。共著に『地域文化を生きる』（大明堂）、『地域に生きる博物館』（教育出版センター）、『郷土』（嵯峨野書院）、共訳にジリアン・ローズ『フェミニズムと地理学』（地人書房）など。

阿部　安成（アベ ヤスナリ）

1961年生まれ。滋賀大学経済学部助教授。専攻は近代日本社会史。共著に『都市空間の社会史』（山川出版社）、『歴史学における方法的転回』（青木書店）、『記憶のかたち』（柏書房）など。

関連リンク

青弓社

上記内容は本書刊行時のものです。