矢幡 洋(著)
四六判 202ページ 上製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-3154-3 C0036
品切れ・重版未定
登録日 2010年02月18日
少年は、なぜあのような凶行におよんだのか? 神戸児童連続殺傷事件を学校教育やメディアの問題として考えるまえに、まず少年の心の闇を視つめたい──公表された全資料から少年の心のなかに入り込み、そのパーソナリティー解明に迫る(なお、2001年5月に本書の改訂版『少年犯罪の深層心理』を刊行いたしました。)。
1 「地獄篇」──三角公園の事件 最後の登校日/激烈な怒り/少年Aの傷つきやすさ/報復の論理/私たちの周囲のミニ酒鬼薔薇/「地獄篇」的世界──亀とナメクジ/メラニー・クラインによる少年の基本心理/少年の根源的感覚──恐怖感/妄想的−分裂的ポジションの特徴/抑鬱的ポジション/罪悪感・共感の未発達/「つらい」という少年の言葉2 二重生活──生育歴から 虐待者にして被虐待者/支配による愛/「やり返す」という気力/「真の自己」と「偽の自己」/症例ジュリー/サスケの物語/母親に対する愛情/なぜ両親には反抗しなかったのか/「選ばれた者」にして「呪われた者」/仲間集団が果たした役割3 オナニズムの強迫 死への関心と反復強迫/症例サム/喪の作業/「死をもたらす者」というイメージの反復/快楽サデイズム/ネコ殺しとオナニズム/食欲の性4 最初の犯行──内的幻想と解離 つけ回し事件/最初の凶行/現実とのあいだの壁、そして不連続レイン──精神病質/存在と無/認知意味論で読む「懲役13年」/中心気質との比較/観念操作/空想世界の比重/内面の死/感情体験の困難5 血の造形と「見えるもの」への意志 真っ赤な粘土に突き立てられたナイフの群れ/分裂病質者の表現行為──デフォルメヘの意志/破壊・オリジナリティー・内的誠実/幾何学性と死/「無慈悲性」の誇示/なぜ「ジェイソン」か/ナメクジマンガとつけ回し事件の意味/ナメクジマンガ表紙絵分析/自意識という存在証明/「見えるもの」へ/自己治療としての造形作品6 通り魔殺人事件・バモイドオキ神・酒鬼薔薇聖斗 「聖なる実験」/「一線」を超えたとき/思考による救い/物語による解決/「バモイドオキ神」とは何か/「バモイドオキ神」と非現実感/「バモイドオキ神」絵画分析/酒鬼薔薇聖斗とは何か/酒鬼薔薇聖斗の勝利7 男児殺害とフィロバティズム 五月二十四日、タンク山/頭部切断/挑戦文の言説戦略/禍々しき創造/フィロバティズムとスリル愛好/メディア化した自己8 燃えるキリン──犯行声明文解釈 徹底捜査/インパクション/燃えるキリン/「三十歳代の男」のフィクション/「サカキバラセイト」の執拗/良心/犯行声明文解釈/宮台真司説批判/「透明な存在」をめぐる可視性の問題/犯行声明のあと/生少年への手紙──あとがきに代えて
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