魚柄 仁之助(著)
A5判 192ページ 並製
定価 1800円+税
ISBN978-4-7872-2087-5 C0021
在庫あり
書店発売日 2020年01月24日 登録日 2019年11月29日
「朝日新聞」
朝刊 評者:湯澤規子(法政大学教授・歴史地理学) |
|
「読売新聞」
朝刊 評者:通崎睦美(木琴奏者) |
|
「朝日新聞」 朝刊 | |
「日本経済新聞」 朝刊 |
「カレー、餃子、肉じゃがの国民食トリオ」はどうやって生まれたのか。文明開化期からの家庭雑誌・料理雑誌を渉猟してレシピどおりに調理し、経験豊かな舌で吟味して通説の輸入史・生育史に疑問やダメ出しを投げかけて、意外な経歴を明らかにする食文化論。
子どもも大人も大好物のカレーのとろみがついたルーは、インド本場のサラッとした汁カレーがどうやって変わってできあがったのか。
イギリス・ウスター生まれのソース、フランス伝来のマヨネーズも、どんなルートをたどって現在の「和風調味料」に変身したのか。
中国大陸から渡ってきた餃子が「日本各地の餃子」に変身する過程を解明し、「おふくろの味」「手料理」神話の代表=肉じゃがの「戦前から食卓にのぼっていた」イメージを実証的にくつがえす。「肉じゃが」が初めて雑誌に登場したのは、敗戦後の1950年、しかもレシピではなく街レポでの紹介だったのだ!
「食の鑑識家」が明治の文明開化から現在までの家庭雑誌・料理雑誌を徹底的に渉猟してレシピどおりに実作して、食べて、経験豊かな舌で味を分析する。そして、通説とされている輸入史・生育歴に疑問やときにはダメ出しを加える。
鑑識ぶりも、徹頭徹尾、実証主義。「カレー、餃子、肉じゃがの国民食トリオ」が生まれ育った歴史を知る格好の食文化論。
まえがき
第1章 日本のカレー
1 洋食調味料「御三家」と日本人
仁義なき日本のカレー・無手勝流
2 鮑のカレー
3 まずは漆椀のカレー、和食だけに……
カレー煮
カレー椀
4 油揚げライスカレー
5 身欠きニシンカレー
6 蓮根カレー
7 魚の骨のカレー
8 里芋と竹輪のカレー餡
9 カレー粉入り味噌汁
10 牛肉のカレー味噌焼き
11 生節のカレーライス
12 王者エスビーが放つ絶対的ニッポンカレー
13 ひもかわのカレーチャプスイ
14 カレーロークス・コロッケ
第2章 日本のマヨネーズ
1 和食のなかのマヨネーズ
マヨネーズの規格ができるまで
2 敗戦後の規格外マヨネーズたち
大豆粉マヨネーズ
粉ミルクマヨネーズ
片栗粉マヨネーズ
小麦粉マヨネーズ
馬鈴薯マヨネーズ
油なしマヨネーズ
全卵使用のマヨネーズ
規格外マヨネーズのまとめ
3 マイナイソースと呼ばれていた頃の初期マヨネーズ
築地精養軒のマヨネーズ
村井弦斎夫人のマイナイソース
板垣伯爵夫人が主宰の料理講習会で教えたマイナイソース
東伏見宮妃殿下のマヨネーズ
満蒙開拓団女子訓練所で教えるマヨネーズ
「酢油ソース」と呼ばれたマヨネーズの作り方
『軍隊調理法』に書かれたマヨネーズの作り方
4 「わたし、失敗しないので」マヨネーズ
スピード・マヨネーズ
味噌マヨネーズ
バターマヨネーズ
二倍に増えるマヨネーズ
「わたし、失敗しないので」マヨネーズのまとめ
5 マヨネーズの広告集
キューピー印マヨネーズの広告
ダンス印マヨネーズソースの広告
タマゴマヨネーズとスポーツマン印マヨネーズの広告
メランジーの広告
粉末鶏卵の広告
「キューピーマヨネーズ」――節米とマヨネーズとの関係
第3章 日本のソース
1 ニッポンのソース道
日本のソースとは新醬油のことだった
和食はショーユで洋食はソースなのか?
ウスターソースの定義
2 醬油からソースを作る日本人
終戦直後の家庭でできるソース作り
調理の専門書でも「醬油からソースを作る」とされていた
女子大学の先生も醬油からソースを作ると教えていた
戦前にさかのぼってもソースのもとは醬油だった
醬油メーカーのソース製造
専門書に見るウスターソース製造法
何でも自家調達する軍隊のソース製造法
3 ソースを使った和食の実例とその証拠となるレシピ
洋食の日本化とウスターソースが「おソース」になった道のり
①鶏の洗いをソースで食べる
②馬鈴薯のソース漬け
③ソースカツ丼
④古沢庵のソース漬け
⑤ご飯にソースをかけただけの料理
⑥冷奴にウスターソース
⑦鯖の昆布巻き蒸しにソースをかける
⑧刺し身のグラビアページにソースの広告が……
⑨支那の餃子をソースで食べる
⑩あの八百善でもソースは新醬油だった
⑪一九一五年(大正四年)、ソース煎餅は名物だった
4 日本「ソース」広告集
カップ焼きそば用粉末ソースの元祖か?
広告 ソースの素
ソース工場と醬油蔵は造りが違う
フランス仕込みのブドウソース
家庭でできるソース製造法の本の広告
醬油とソースが同列に並べられたヒゲタ醬油の広告
まとめ――何にでも醬油からソースどぼどぼへ
第4章 日本の餃子
1 日本餃子の始まり
日本餃子の黎明期
①「かうづら」と訳されていた餃子
②ビターマンと名付けられた日本餃子
③家庭料理本に登場した餃子
④日本餃子の系図と都市伝説
⑤日本餃子と中国餃子との違い
2 日本餃子「皮作り」の時代
餃子の作り方(レシピ)は皮の作り方
「満州国」大使館員のご夫人指南の餃子
パンとお菓子の名店が作る餃子の皮はピンク色
3 「焼き餃子は戦後の日本で始められた」説を覆す資料画像
4 餃子の皮作りと包み方のイラスト比較
皮の作り方と包み方のイラスト
皮作りが餃子の命!がわかるイラスト
花嫁講座で教える餃子の作り方
戦後いち早く出版された料理本の餃子イラスト
包み方の図版比較
5 手作り皮の洋風餃子?
ラビオリは洋風餃子だった
焼き餃子専用鍋が売られていた
6 餃子のレシピは餡のレシピに
手作り皮と市販の皮のレシピ比較
家庭料理の定番になった餃子のレシピ
一つのレシピに手作り皮と市販の皮が載っていた
7 餃子の発展型
自由形の餃子二点
①桃とハムの揚げ餃子
②卵の餃子
鍋物の具としての餃子
餃子の皮で残り物処理料理を
餃子の皮がおやつに変身
ジャムのかわりにカレー味でインド風
餃子のソース焼き
8 ニッポンの餃子のまとめ
餃子はもともと中華料理
餃子作りは家族でおこなうレジャーになった
第5章 肉じゃがの歴史
1 「肉じゃが」という名前の誕生
最古?の「肉じゃが」表記
料理本の料理名から時代が読める
料理本に「肉じゃが」表記を発見!
2 肉じゃがと命名される前のじゃが芋のレシピ
「馬鈴薯の煮やう」ビーフシチュー風肉じゃが
某軍艦の献立にあった海軍料理
「甘煮」(うまに)がのちの肉じゃがに
肉豆腐と肉じゃがが合体した料理
豚肉を使った肉じゃがの始まり
豚バラ肉じゃがの源流
『軍隊調理法』に「肉じゃが」はなかった
3 肉じゃがという料理名の裾野に広がる「いもとにく」料理
同一ページに肉じゃが「風」料理が三つ並んだ料理本
煮崩れない揚げ芋で作る肉じゃが
ひき肉を使った肉じゃが風煮込み
4 肉じゃが登場後の発展型
肉じゃがは煮崩れてなきゃ派のためのレシピもあった
二十世紀末、肉じゃがの立ち位置は?
5 「肉じゃがはおふくろの味」伝説を作った料理本の見出し
おふくろの味が恋しいとき
「だんなさまの好きないなか料理」にされた肉じゃが
食べ飽きないおふくろの味
肉じゃがは飲み屋料理という認識
おふくろの味好み
若向きの味にした和食……の肉じゃが
6 都市労働力を支えた郷愁と肉じゃが
「いも&にくの煮物」に見る郷土色
懐かしきおふくろの味のルーツはここにあった
いもがなぜ「懐かしい・おふくろの味」なのか
7 肉じゃが「おふくろの味」と「肉じゃが」論
「おふくろの味」が登場
肉じゃがには伝統も確立された定義もなかった
懐かしい味の「懐かしい」のは肉ではなくイモだった
おふくろの味を作ったおふくろの食生活はこうだった
在庫あり
送料無料162-0801 東京都新宿区山吹町337
電話:03-3268-0381
ファクス:03-3268-0382
●会社案内 ●購入案内 ●プライバシーポリシー ●特定商取引法に基づく表示
●特約店一覧
●リンク
掲載している文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。それ以外のものと青弓社社員によるものの著作権は株式会社青弓社にあります。