越境する近代 9
歴史・地理
丸山 泰明(著)
A5判 264ページ 上製 定価 3400円+税 ISBN978-4-7872-2038-7 C0320 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2010年05月 書店発売日 2010年05月23日 登録日 2010年05月21日
日露戦争開戦前夜に青森県・八甲田山で起こった雪中行軍遭難事件の衝撃は驚愕と悲嘆、好奇のまなざしと美談をも生み出した。死者はどのように慰霊・顕彰され、記憶はどう編纂されたのか。新聞報道や公文書、聞き取り調査などから大日本帝国の形成期を問い直す。
まえがき 第1章 雪中行軍の歴史的背景と遭難の衝撃 1 東アジアの二つの帝国 2 行軍と遭難 3 救援活動から捜索活動へ 4 ニュースとしての遭難 5 悲しみと批判 第2章 陸軍と政府の対応、地域社会の反応 1 遭難事件と法制度――閣議決定から勅令へ 2 悼む明治天皇 3 死者の弔い 4 責任者の処遇 5 吊魂祭の執行と陸軍墓地の建設 6 陸軍による民衆感情の調査 7 徴兵忌避の発生 第3章 惨事への好奇心――見世物から映画へ 1 見世物化する遭難 2 ジオラマ 3 幻灯 4 演劇 5 生人形 6 見世物から映画へ 7 カットされたシーン 第4章 美談のイコノグラフィ 1 発見された二人の遺体 2 献上と叡覧 3 美談の構造と欲望される変死 4 振天府と遊就館 5 図像の検証――もうひとつの死の姿から 第5章 仮死の紀念碑 1 仮死状態で立つ銅像 2 建設の経緯 3 銅像と美談の間 4 遭難紀念碑の二十世紀 5 雪中行軍異聞 第6章 遠い靖国 1 靖国神社合祀のフォークロア 2 靖国神社とは何か 3 合祀をめぐる議論 4 合祀否決 5 霊魂のゆくえ 終章 1 二つの帝国の間で 2 黒溝台会戦の実態 3 百年ののちに あとがき 索引
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