玉川 裕子(編著)
四六判 266ページ 並製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-7382-6 C0073
在庫あり
奥付の初版発行年月 2015年11月 書店発売日 2015年11月19日 登録日 2015年09月08日
「毎日新聞」 |
従来のクラシック音楽史が見落としてきた女性たちの豊かな音楽活動の歴史を、その実践がおこなわれた場――劇場・公開演奏会・学校・協会・家庭――に注目して史料から掘り起こす。女性たちによる音楽の営みを浮かび上がらせる、もう一つのクラシック音楽史。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、チャイコフスキー……誰もが目にしたことのある名前が並ぶ従来の西洋音楽史では、男性の、それももっぱら作曲家だけが語られてきた。だが、時代や社会の制約を受けながらも、女性たちも積極的に作曲や演奏などの音楽実践にたずさわり、音楽文化の形成に深く関与していた。現代では女性の音楽家の活躍がめざましいが、なぜ過去の実践は語られることがないのだろうか。
本書では、男性作曲家中心の視点で描かれてきたクラシック音楽史が見落としている女性の豊かな音楽活動に光を当てる。具体的にはクララ・シューマンや松島彜などの職業音楽家だけでなく、ファニー・ヘンゼルをはじめとするアマチュアの音楽実践も取り上げ、その活躍と苦難をたどる。また、近代イギリスの女性音楽家協会、日本の学校教育における洋楽と女性、女性のたしなみとしての音楽といった視点からも女性の活動をみることで、音楽文化がもつ多面的な歴史を読みやすい文章で紹介する。
劇場・公開演奏会・学校・協会・家庭などの「場」というトピックスを設定し、それぞれの場における女性の活動にフォーカスすることで、社会的な性差を意味するジェンダーが音楽文化でもはたらいていることを明らかにし、歴史に埋もれた女性音楽家たちの営みを浮き彫りにする、もう一つのクラシック音楽史。
はじめに 玉川裕子
[劇場]
第1章 ジェンダーの越境者カストラート 梅野りんこ
1 声の高低とジェンダー
2 カストラートとは何か
3 カストラートとオペラ
4 カストラートと女性歌手
5 カストラートとバロック
6 カストラートの衰退と終焉
7 ヨーロッパ社会におけるジェンダー意識の変化
[家庭]
第2章 家庭に鳴り響く音楽 玉川裕子
1 家庭で音楽を奏でる女性たち
2 ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル
3 日曜音楽会
4 改宗ユダヤの一族として
[公開演奏会]
第3章 女性職業音楽家の誕生 玉川裕子
1 十九世紀の女性職業音楽家
2 クララ・ヴィーク=シューマン
3 職業ピアニストとしてのクララ・ヴィーク=シューマン
4 クララ・ヴィーク=シューマンのレパートリー
5 サロンについて
6 公と私のあいだ――クララ・ヴィーク=シューマンの場合
7 女性の音楽実践の場――十九世紀ドイツ市民社会の場合
[協会]
第4章 開かれた連帯――近代イギリスの「女性音楽家協会」 西阪多恵子
1 女性運動のさなかから
2 二十世紀初めのイギリスにおける女性の職業と音楽
3 女性音楽家協会の誕生
4 女性の連帯と男性との協力
5 第一次世界大戦下のSWM
6 音楽する人々のため、女性のため
7 女性の権利
8 その後――SWMと男性
コラム クララ・ヴィーク=シューマンに魅せられて 川嶋ひろ子
コラム ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルへの愛 中田真理子
[学校]
第5章 日本の学校教育を支えた洋楽と女性 辻 浩美
1 音楽――女性の領域?
2 明治期の音楽教育事情
3 女学校の音楽教育
4 女性作曲家・松島彜の生涯
5 音楽家としての彜の生き方
[家庭]
第6章 女性と音楽のたしなみの日本近代 歌川光一
1 女性と音楽のたしなみの二十世紀
2 音楽のたしなみの実態
3 「家庭」の成立と「洋楽/邦楽」――明治後期から大正期のピアノ・三味線
4 たしなみの行方――昭和戦前期のピアノ・長唄
5 女性音楽家と女師匠――職業論からみる「洋楽/邦楽」
6 女性の音楽のたしなみと日本の近代化
コラム ガントレット恒の生き方をみる――キリスト教受容と洋楽受容の側面から 市川啓子
コラム 平和と平等を願う女性作曲家たち 小林 緑
〈女性と音楽〉参考文献案内 市川啓子
あとがき 玉川裕子
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