中澤 篤史(著)
A5判 360ページ 上製
定価 4600円+税
ISBN978-4-7872-3374-5 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月 2014年03月 書店発売日 2014年03月26日 登録日 2014年01月17日
「朝日新聞」
評者:荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家) |
日本独特の文化である運動部活動の内実を捉えるために、戦後から現在までの歴史をたどり、フィールドワークから教師や保護者の声も聞き取る。スポーツと学校教育の緊張関係を〈子どもの自主性〉という視点から分析して、日本の運動部活動の特異性を照射する。
はじめに
序 章 なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか
1 本書の目的
2 なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか
3 理念としての〈子どもの自主性〉への注目
4 本書の教育学的背景
5 本書の構成
第1章 運動部活動を分析するための方法論
1 方法論的検討――戦後体育学を批判的に再考する
1−1 スポーツと学校教育の結び付きを論じる既存の体育学的議論の図式とその問題点
1−2 本書の方法論的立場
1−3 定義と対象
2 分析枠組みの設定――戦後以降の学校と教師のかかわりに注目する
2−1 何が運動部活動を成立させてきた/させているのか
2−2 運動部活動への学校と教師のかかわりは、いつ始まったのか
3 運動部活動の日本特殊性
3−1 青少年スポーツの国際状況
3−2 運動部活動の日米英比較
4 教育問題としての運動部活動
4−1 日本教職員組合の見解と学校スリム化論の主張
4−2 運動部活動は地域社会に移行したのか
5 代表的な運動部活動論の検討
5−1 運動部活動のあり方はどう論じられてきたか
5−2 城丸章夫の運動部活動論
5−3 中村敏雄の運動部活動論
5−4 内海和雄の運動部活動論
5−5 城丸・中村・内海の議論が運動部活動のあり方に与えた影響
補 論 運動部活動研究の包括的レビュー
1 日本とアメリカの社会科学が蓄積してきた運動部活動研究
2 教育学領域
3 体育・スポーツ科学領域
4 社会学/心理学領域Ⅰ(参加・適応研究)
5 社会学/心理学領域Ⅱ(機能・効果研究)
6 社会学/心理学領域Ⅲ(顧問教師研究)
7 歴史学領域
8 日本研究(Japanese studies)領域
9 運動部活動研究上における本書のオリジナリティー
第Ⅰ部 運動部活動の戦後
第2章 戦後運動部活動の実態・政策・議論
1 運動部活動はどのように拡大してきたのか
1−1 実態・政策・議論から戦後史を描く
1−2 各種資料の網羅的蒐集
2 戦前の運動部活動
3 戦後の実態はどう変遷してきたのか
3−1 生徒の活動状況――加入率と活動日数の増加
3−2 教師のかかわり――一部の部分的なかかわりから、半数以上の全面的なかかわりへ
3−3 運動部活動を取り巻く状況
3−4 実態の変遷のまとめ
4 戦後の政策はどう変遷してきたのか
4−1 終戦直後~1950年代前半――自治/統制の二重性の制度化
4−2 1950年代後半~60年代――統制の緩和と競技性の高まり
4−3 1970年代~80年代前半――大衆化の追求と教師の保障問題
4−4 1980年代後半~2000年代――多様化=外部化の模索
5 戦後の議論はどう変遷してきたか
5−1 終戦直後~1950年代――自由・自治の価値と学校・教師のかかわりの必要性
5−2 1960年代――選手中心主義への批判と学校・教師の主体性確立の必要性
5−3 1970年代――教師の負担・保障問題と社会体育化の模索
5−4 1980年代――非行防止/生徒指導手段の是非と生涯スポーツ論の台頭
5−5 1990年代~2000年代――「開かれた運動部活動」と多様化=外部化の推進
6 戦後運動部活動の拡大過程
6−1 実態・政策・議論の関係と時期区分
6−2 戦後運動部活動の拡大過程と〈子どもの自主性〉
第3章 戦後運動部活動と日本教職員組合
1 運動部活動はなぜ縮小しなかったのか
1−1 日本教職員組合への注目
1−2 教師集団における日本教職員組合の位置
2 日本教職員組合の分析方法
2−1 分析の枠組み・レベル・時期
2−2 教育研究全国集会資料の重要性
2−3 教育研究全国集会資料の扱い方
3 日本教職員組合は運動部活動をどう見たか
3−1 課題A――全国レベルの見解はどのような変遷をたどってきたのか
3−2 課題B――積極的保障という見解の背景に、都道府県レベルのどんな運動があったのか
3−3 課題C――社会体育化/積極的保障という見解のズレは、どんな帰結をもたらしたのか
4 戦後運動部活動と教師
4−1 日本教職員組合の見解の構図
4−2 戦後運動部活動への教師のかかわりと〈子どもの自主性〉
第Ⅱ部 運動部活動の現在
第4章 戦後から現在へ
1 運動部活動の現在性
1−1 戦後の分析を踏まえて
1−2 現在の運動部活動の成立と学校と教師のかかわり
2 組織レベルでの学校-保護者関係
2−1 学校のかかわり方に与える保護者の影響
2−2 保護者の二面性――「消費者」と「協働者」
3 個人レベルにおける教師のかかわり
4 ヒガシ中学校のフィールドワーク
4−1 データ収集方法
4−2 公立ヒガシ中学校の概要とその位置づけ
4−3 フィールドワークの経緯
4−4 主なインフォーマントの一覧
第5章 運動部活動の存廃と学校-保護者関係
1 学校-保護者関係は、運動部活動の存廃にどう影響するか
2 存続する部活動と廃止される部活動
2−1 年度替わりの顧問教師の異動への注目
2−2 分析対象の抽出
3 保護者の〈要望〉と〈支援〉の有無から見た比較
3−1 パターンA――保護者の〈要望〉と〈支援〉の両方があった部活動
3−2 パターンB――保護者の〈要望〉があり〈支援〉がなかった部活動
3−3 パターンC――保護者の〈要望〉がなく〈支援〉があった「部活動支援」
3−4 パターンD――保護者の〈要望〉と〈支援〉の両方がなかった部活動
3−5 保護者全体に対するヒガシ中の対応
4 運動部活動と学校-保護者関係
4−1 保護者の〈要望〉と〈支援〉が運動部活動の成立に与える影響
4−2 運動部活動の新自由主義的/参加民主主義的な再編
第6章 運動部活動改革と学校-保護者関係
1 運動部活動改革はどう進行していくか
2 運動部活動改革の追跡調査
2−1 地域社会に移行するか、学校に留まるか
2−2 ヒガシ中学校サッカー部の特徴
3 ヒガシ中学校サッカー部の改革
3−1 保護者の運動部活動への意識
3−2 保護者のかかわりと学校の対応
4 運動部活動改革の進行と学校-保護者関係
4−1 保護者の〈要望〉と〈支援〉の源泉とその影響
4−2 学校-保護者関係と〈子どもの自主性〉
第7章 運動部活動に積極的な顧問教師
1 なぜ教師は運動部活動に積極的にかかわり続けるのか
2 教師本人の意味づけ方への注目
2−1 解釈的アプローチ
2−2 教師が直面する指導上の困難
3 積極的な顧問教師と消極的な顧問教師
3−1 運動部活動に積極的/消極的な顧問教師の分類
3−2 運動部活動に消極的な顧問教師と指導上の困難
4 運動部活動に積極的な顧問教師による困難の意味づけ方
4−1 運動部活動の捉え方
4−2 (イ)多様性への対処場面での困難への意味づけ方
4−3 (ロ)選手の選考場面での困難への意味づけ方
4−4 (ハ)時間の配分場面での困難への意味づけ方
5 運動部活動と積極的な顧問教師
5−1 教師が運動部活動に積極的にかかわり続ける理由
5−2 教師の積極的なかかわりと〈子どもの自主性〉
第8章 運動部活動に消極的な顧問教師
1 なぜ教師は運動部活動から離脱しない/できないのか
2 消極的な顧問教師の記述的分析
2−1 記述的分析
2−2 分析対象とする消極的な顧問教師
3 運動部活動から離脱しない/できない顧問教師
3−1 個人的志向のために離脱しない顧問教師
3−2 教師-生徒関係によって離脱しない/できない顧問教師
3−3 教師-教師関係によって離脱しない/できない顧問教師
3−4 職場環境によって離脱しない/できない顧問教師
4 運動部活動と消極的な顧問教師
4−1 消極的な顧問教師が離脱しない/できない理由と文脈
4−2 教師の消極的なかかわりと〈子どもの自主性〉
終 章 スポーツと学校教育
1 各章の概要
2 第1の結論――運動部活動の拡大・維持過程
3 第2の結論――スポーツと学校教育の日本特殊的関係の構築プロセス
4 新たな課題――訓練としてのスポーツ、解放としてのスポーツ
5 理論的展望――スポーツと学校教育の結び付きに関する二元的パースペクティブ
おわりに
参考文献
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